異議あり! 大阪市議、中学校で「教育勅語」暗唱

「お国のために身を捧げよ」とのたまう床田市議
おまえがイラクへいけ!──藤井幸之助

2003年 12月5日
通巻 1163号

編集部より

大阪市立柴島中学校の新校舎竣工式典の来賓代表あいさつの中で、「新校舎に魂を吹き込みたい」と全校生徒、保護者、教職員の前で「教育勅語」を全文暗唱した床田市会議員は、自民党のアナクロじじいと思いきや、34才の2世議員だった。大阪市議会議長も務めた父親=床田健三の急死に伴い、大阪市議会議員となったのが、31才の時。写真を見ても、いかにもボンボン育ちでどうしようもないバカ息子と言った風情だ。このボンボンが、今や保守層の中で一躍ヒーローだ。保守系のホームページなどでは、「よくぞやってくれた!。勇気ある行動」と褒めちぎられている。

 落成式当日、保護者として出席し、「異議あり!」と叫んだ藤井さんは、「東淀川『教育と人権・平和・環境』を考える会」として発言の撤回を求めて活動中である。

藤井幸之助より

娘の通う中学校の授業参観と新校舎竣工式があった。ビデオカメラを持って行った。

 大阪市東淀川区にある市立柴島中学校は「自立・誠実・共生」を校則にし、二〇〇三年度教育指導方針@教育目標の「こんな生徒に…」の中でも、第一に「人権感覚するどく、国際性を身につける生徒」をあげるなどしている学校だ。一一月一日に開かれた新校舎竣工式で、自由民主党の大阪市議会議員床田正勝さん(三四歳。父親の健三さんが急死し、跡を継ぎ、市議会二期目)が来賓を代表して祝辞の中で、新校舎に魂を吹き込みたいといって、「朕惟フニ我ガ皇祖皇宗國ヲ肇ムルコト宏遠ニ徳ヲ樹ツルコト深厚ナリ…」と「教育ニ関スル勅語(教育勅語)」の全文を暗唱した。それもなぜか自信なさげにボソボソと。その後、床田さんは全校生徒に向かって、次のように発言した。

 床田「これについていろんろな意見があろうと思いますけれども、簡単に申し上げれば、お父さん・お母さんを大切にして、兄弟仲良くして、そして、結婚したら、夫婦仲良く、そして、国のために、みんなで、公のために尽くしていこうという精神であります。わたくしは何年たっても、どういう世界になろうとも、わたくしはこれが本当の教育の基本であると思いますので、新しい校舎になった今だからこそ、逆にこれをぜひ見直していただきたいと思うわけでございます」。

 「忠君愛国」を説き、子どもを戦場へ送ることを意図した「教育勅語」は、一九四八年に失効している。「日本国憲法」「教育基本法」の平和主義・民主主義に明らかに反する。

「若い人が命を抛った戦争」

床田さんは続ける。「今、世界中でいろんな戦争があります。イラク戦争などのような、国際的に疑問を投げられているような戦争もありますけれども、それ以外にも数年前まで、若い人が命を投げうって戦争をされたことがいっぱいあります。それはなんでか。自分たちの独立を守るためであります。自分たちの国旗・国歌を勝ち取るために、若い人は命をなげうったということがたくさんあるんです」。

 イラク戦争はアメリカ帝国の侵略戦争であることは疑う余地もない。話の中の「若い人が命をなげうった戦争」とは何を指すのだろう。

 床田「今、世界中ではこの国旗・国歌を冒涜、すなわち、相手国の国歌をけなしたり、また相手国の、また、自分の国の旗を破ったりしたら、罰せられる法律があるぐらいなんです。これからは国際社会です。外国のみなさんと仲良くして、そして、これから大人になって仕事もいっぱいしていかなくてはいけません。そういった時に、国際社会のエチケット、マナーである相手国の国旗・国歌を尊重して、そして、敬う気持ち、これを養っていかなければなりません。その前に自分自身の、日本の、国旗・国歌を尊重する気持ち、そして、その歴史を国民として、しっかり認識していく必要があると思います」。

 「日の丸」「君が代」を押しつけるだけでなく、「身を捧げろ」と言うのだ。ここまで言われて、人として黙っていられない。発言が終わるやいなや、一言「異議あり」と言ってやった。

 現在、床田さん本人と直に会うことになっている。発言を撤回してもらい、吹き込んだ魂を抜いてもらう。

(ふじいこうのすけ 大学非常勤講師)

人民新聞社

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