人民新聞

続報--大阪市の野宿者荷物
撤去─焼却事件

広がる支援・賛同の輪/開き直る大阪市

編集部

2003年 7月25日
通巻 1151号


行政の「ホームレス自立支援」とは
野宿者の排除と管理・収容だ

 本紙六月五日号で報じた、大阪市建設局がJR大阪駅近辺で野宿していた人たちの荷物を勝手に撤去し、焼却した事件の続報である。
 その後も、事件の被害者・支援者を交えての抗議行動が続けられている。要求は、実に単純明快で、誰にでも「当然」と思えるものだ。@この事件の真相を明らかにすること…作業現場でどういうやり取りがされたのか、「大事な荷物だから処分しないで欲しい」という当事者からの電話連絡にどういう対応がされたのか?A事実を踏まえた上での謝罪と補償、B今回のような事件をくり返さないための再発防止策をとること。
 しかし、大阪市側は六月一三日に「適正な業務管理の一環」であり、「謝罪と補償についてはしない」という回答を出してからは、沈黙を守るばかり。
 この大阪市の「居直り」に対して、各地から抗議の声があがっている。「釜ヶ崎パトロールの会」による抗議の呼びかけには、海外を含め、全国各方面の団体・個人から二〇〇を超える賛同が集まっている。

謝罪・補償と再発防止を確約させた各地の野宿者運動

 そんな中、七月二七日に「エルおおさか」で今回の事件の「真相報告集会」がもたれた。各地で「野宿者差別」の行政と闘っている団体が、アピールを行った。行政が野宿者の荷物を処分するという事件は、神戸でも京都・名古屋・東京でも起こっているが、当事者と支援者の抗議により謝罪・補償を勝ち取っている。さらに、東京では再発防止を確約させている。
 翌二八日は、梅田出張所と大阪市役所へ抗議行動。「抗議文」を提出した。ところが梅田出張所では門扉を閉め切った対応。「もう話し合いはしません」とふざけた態度であった。ところが門前で抗議の声が大きくなり、近所の人たちが何ごとかと出てきたものだから、慌てた出張所側は、渋々出てきて抗議文を受け取った。
 大阪市役所では、公安警察とガードマンが見守る中で抗議文手渡し。話し合いの中で、大阪市ホームレス自立支援課は「建設局の見解が市の見解」と発言した。参加者から「それなら、大阪市の『ホームレス自立支援』は、結局野宿者いじめということじゃないか!」という怒りの声があがった。
 この事件は、「道路管理業務」「ホームレス自立支援」という、もっともらしい名目の下に、排除と管理・収容をやっていこうとする行政の姿を明らかにしている。「ホームレス排除」を、野宿生活を送っている当事者だけの問題にとどめてはならない。    (小比類巻 新)

 

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