治安維持のためのホームレス自立支援法粉砕!

釜ヶ崎炊き出しの会・稲垣 浩

2002年 5月5日
通巻 1109号

 この悪法の土台を釜ヶ崎NPOと民主党の一部議員が作り、自民党と公明党がより明確に仕上げ、今国会で成立させようとしています。
 何が悪法かて?
 釜ヶ崎で言えば、あいりん職安が仕事の紹介もせず、違法な手配師や人夫出しに仕事の紹介をまかせていたこと。その結果が、野宿する人たちを多数生み出したということ。もう一つは、釜ヶ崎の中に市立更生相談所(以前は民生局の出先機関)があり、生活に困った日雇労働者が、生活保護法に基づく保護を求めて相談に行くところですが、すべて施設収容でしかありませんでした。
 誰が監視され管理される施設を望みますか?しかも生活保護以下の条件なんです。国や市は、景気のいい時もずーとこの差別政策をとり続けてきました。生活困窮者が激増している今もそうなんです。だから野宿する人たちが増え続けているのです。今回の悪法は、この差別行政を覆い隠してしまう法律です。
 小泉政権は、自らの悪政を反省することもなく、仕方なく公園や路上や河川敷でテントを張って生活している人たちに、さらに追い打ちをかけ、公園から追い立て、劣悪な施設に収容しようと企てています。
 それに手を貸しているのが釜ヶ崎NPOなんです。この中心人物たちは、労働者階級の裏切り者なんです。仕事を出してもらう(NPO指導員の仕事保障には確かになっている)というアメをねぶらされ、代わりに公園で強制排除のムチを喰らうのは、野宿している人たちなんです。
 こういうことを批判していた人たちが、今はアメをねぶりまわしているのです。利権も当然生まれているのです。少数の利権のために大多数の人々が泣くことになります。これを悪法と言わずに何と言えばいいのですか。
「ホームレス自立法案」に反対して、衆議院第2議員会館前で座り込み
↑ 衆議院第2議員会館前で
「自立支援法案」反対の座り込み

 4月25日に、社民党の国民生活部会で話をする機会が与えられました。公園で野宿している人、釜ヶ崎医療連、釜ヶ崎炊き出しの会等のメンバー40人ちかくが衆議院第2議員会館前ですわり込み、「ホームレス自立支援法は巧妙な保安処分」、「施設収容反対」、「強制排除反対!!」等々の横断幕を持ち、朝の10時頃から夕方3時半まで闘いました。
 社民党衆議院議員の中川智子さんに第1面談室を借りてもらって、お茶の差し入れ等をしてもらい、途中一服をしながら、また他のメンバーはロビー活動と、みんな疲れることもなく1日の闘いを終えました。
 4時からは議員会館の中にある中川智子さんの事務所で、厚生労働省の役人を呼んで話し合い。ここではあいりん職安が仕事の紹介を1日も早くするようにとか、大阪市が釜ヶ崎労働者や野宿している人たちに行っている施設収容をやめさせ、居宅保護をするよう指導せよとか、追及しました。国民生活部会では、社民党議員が7〜8人、秘書の人たち合わせて15〜6人だと思うのですが、その人たちに失業と野宿を考える実行委員会のメンバー6人が、代わるがわるこの「自立支援法」に反対の声をあげました。
 最後に、「社民党として釜ヶ崎視察を考えてみようか」という意見も出て、中川智子さんは帰り際、「私1人でも案内してもらえる?」と言うので、私は「大歓迎ですよ」と答えました。
 野宿している人たちにとって役に立つ法律なら、いくつできてもいいと思っていますが、この法案はダメです。治安維持を目的にした保安処分の法律なのですから。

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人民新聞社

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