反ガイドライン軍事情報

有事法制で首相の指揮権強化検討
防衛出動命令を閣議決定前にも

東京新聞 12/16

2001年 12月15日
通巻 1096号

 政府は15日、日本に対する武力攻撃が発生した場合に適用する「有事法制」の整備にあたり、(1)首相の指揮権を強化し、閣議決定前の防衛出動命令や、地方自治体、警察に対する直接指揮を可能にする。(2)大規模なNBC(核・生物・化学兵器)テロも有事に含め、防衛出動の対象とする。(3)自衛隊と共同防衛行動にあたる米軍も有事法制の対象に含めるとの基本方針を固めた。
 日本に対する武力攻撃が発生し、首相が自衛隊に防衛出動を命じる場合、現行法では、外相、防衛庁長官ら関係閣僚による安全保障会議と全閣僚による閣議で決定し、国会の承認を得なければならない。
 緊急時には国会の承認を得ないで防衛出動を命じることができるが、米中枢同時テロのような突発的な緊急事態が発生した場合、政府部内の手続きの遅れが被害拡大に直結しかねないと判断した。
 「首相は閣議にかけて決定した方針に基づいて、行政各部を指揮監督する」と規定する内閣法6条改正も視野に、首相の権限強化を検討することにした。
 さらに、災害対策基本法や警察法には、大規模災害時に首相が都道府県知事に直接命令したり、警察を統制する権限を認めているが、有事の際の規定がないため、新たに権限を与えることも検討する必要があると判断した。
 内閣官房は既に、古川貞二郎官房副長官を責任者に、各省庁の担当者で構成するチームで有事法制整備に向けた作業を急いでおり、関連法案の提出は2002年度予算成立後の来年4月以降になる見通し。
 有事法制への国民の理解を得るため、1月21日召集予定の通常国会開会後、速やかに、有事法制に関する政府の基本的な考え方や検討状況について説明することも検討している。
×
 (2)で「有事」の出現を容易にし、(1)で独裁的な権力行使を可能にする。(3)で米軍への奉仕を義務つける。当初考えていた「78年有事立法」から大きく飛躍して、改憲に匹敵する戦後体制の根本的変革です。この「基本法」は中味からいうと、これまで有事法制の「第3分類」とされていたものが中心で、各省庁の調整が難しいので一気に片付けたいという方向を目指しています。注目の罰則も盛り込まれるようですが、国家大改造にあたる重要法案を1月足らずの検討で国会に出すとは大胆と言うか無謀。

[ 「特集」〜反ガイドライン軍事情報へ

人民新聞社

このページは更新終了しております。最新版は新ページに移動済みです。