〔意見特集〕テロと報復戦争─あなたはどう思う?

負けるな原よう子!

兵庫・高橋光一

2001年 11月5日
通巻 1092号

 米・同時多発テロ、この激烈なる出来事を奇貨として、有事体制づくりの嵐のごとき攻勢がかけられている。アメリカの報復は当然だ!  自衛隊の海外派兵だ! わはははは。ブッシュ様の太刀持ちである。念願だった戦争のできる国づくりである。千載一遇とはまさにこのことよ─脳天気な小泉の化けの皮もはがれてしまった。
 9月11日以後、テロと報復戦争をめぐる言論は、戦争に反対する者をヒステリックなまでに魔女狩りしている。テロ犠牲者のことを考えろ。反対する者はテロリストである、人間ではないっ。報復なくて何が正義か。…報復、戦争と草木もなびくってか?ああ。
 さて、社民党の衆院議員である原よう子氏が、テロの翌日に自らのホームページの活動日記に《…今回のテロだってアメリカの外交政策の失敗?なのでは・・・?(中略)だって「ざまーみろっ」って思っている国だってきっとある、と思いませんか?それってとっても悲しいことだと原は思います。…》と書き込んだそうだ。
 そしたらまあ抗議が殺到して、彼女も「お詫び」を書くに至ったみたいである。だがまさに世界では、傍若無人のやりたい放題、自分の懐具合だけが何よりも優先するというアメリカに対する民衆の怒りが臨界点までに高まっているのだ。「不謹慎だ」「何を考えているのか」と責められなければならないとすれば、それはアメリカによる収奪や抑圧を(結果的にせよ)見て見ぬふりし、放置してきた我々自身ではないのか。
 原よう子氏のプロフィールを見ると、大学時代にはアルバイトでためたお金でマレーシアやモロッコなどでワークキャンプに参加し、植林や農業などの活動を通じて、各国の青年や子供と交流、国内では山村留学や福祉施設でのボランティア活動に参加…とある。第3世界民衆の気持ちを肌感覚で理解出来ている人なのではないかと想像する。彼女の発言の背景には、貧困にあえぎ、アメリカの政治的軍事的な暴圧に苦しめられている第3世界民衆の生々しい現実がある。「ざまーみろっ」=悲しい、その構図の前に、我々はどのような結末を用意しようとするのか 彼女の言葉は世界の状況の散文的表現なのだ(とりあえずそれ以上でも以下でもないが)。
 社民党の辻元清美政審会長が注意したそうだが、社民党流永田町の論理でこういう原則的な発言を封じようとしなさんな。「国会議員にもなるとホラ、なかなか難しいこともあるのよ」なんて理屈で彼女のような発想のできる人を飼い殺しのような目に遭わせたくないのだ。
 彼女の好きな言葉は「生きている すべての人と ふれあって 心あたため 生きたいものよ」だそうだが、これは建前じゃなく、彼女の経験から来る本音じゃないか、と私は思っている。負けるな、原よう子!君の後には君が出会った世界の民衆がついているぞ。訳知り顔の「有事おやじ」とか議会や党内の恫喝やいびりにも凹む必要なんてない! 支持者も今こそ彼女を支えてやるべきだ。元気出していこう!

「言わせて聞いて」へ | 「特集」へ

人民新聞社

このページは更新終了しております。最新版は新ページに移動済みです。