〔意見特集〕テロと報復戦争─あなたはどう思う?

NY世界貿易センタービル及び

ペンタゴンへの自爆攻撃、支持

神奈川・桧森孝雄

2001年 10月15日
通巻 1090号

 私は、一握りの富が一握りの者どもに集められ、多くの民が飢え、餓死に晒され続けている世界では、9月11日の闘いが起こる必然があると思う。欧米日の帝国主義諸国と露中の強大国とが資本―金融資本の寡頭制を進め、それにまつろわぬ者たちへの侵略・抑圧・搾取の攻撃を強めている中で、9月11日の行動は起こるべくして起こったのだ。
 諸民族・諸国家間の妥協を諮るべく造られた国連はコソボ空爆でその機能を完全に失い、帝国主義諸国軍は一滴の血を流すこともなく数百万の民を血の海に沈めてきた。かつて、労働者階級と被抑圧諸民族の団結が叫ばれる中で、旧ソ連・旧東欧・中国の諸国家は民へ銃口を向け、諸民族を更なる部族間抗争の泥沼にまで落とし込んだ。こうした「社会主義」国家を超える「死滅しつつある国家」の現実形態を私たちは今なお展望しえていない。
 金融寡頭制と超大国との利害が全てに優先する21世紀の幕開けにあって、弱小の諸国家・諸民族が絶望の極みに落とし込まれていたのを、私は知らなかった、と言えるはずもない。モーニング・コーヒーをすすって爆撃に出かけ、夜には帰って家族と団らんさえできる帝国主義軍隊を持つ諸国民に対して、侵略と抑圧の極みに晒されている人々が深層からの憎悪をたぎらせているのを、私は知らなかった、と言えるはずもない。
 9月11日の闘いに赴いた戦士たちは、絶望の果てにどのような希望をまさぐっていたのだろう。帝国主義と超大国とによってもたらされた現実世界に、自らの命を持ってしてノー!を叫んだ彼らの歩みを解き明かすメッセージは、今なお想像し続けるしかない。今の私に確かに言えることは、暴力ー非暴力を超えて、侵略―抑圧―搾取の元凶と向き合う中で初めて、彼らのメッセージとの交差が可能となるかもしれないということだ。確かにそれは、無限の想像をたくましくさせる飢餓下での自己検証である。 

                 桧森 拝

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