〔意見特集〕テロと報復戦争─あなたはどう思う?

自分たちが悪事を働いていることに

何と無自覚なことか

兵庫・河合左千夫

2001年 9月25日
通巻 1088号

 かつて、東京で地下鉄サリン事件が起きた時、まだ事件の原因も犯人も分からない時点で、僕は「東京はとんでもない事件が起きてもおかしくない街であり、東京に暮らす以上、そのことを覚悟すべきである」と意見を述べて、ひんしゅくを買いました。でも原因も犯人も分かった今になっても、その思いに変わりはありません。日本資本主義の総本山で、日本と世界の人々の汗と血を吸い上げてふくれ上がっている街に、自ら望んでハイリターンを求めてそこで暮らす以上、ハイリスクを覚悟するのは当然でしょう。それがイヤなら、どこかの田舎でつつましく、自らの汗を流して暮らすべきです。
 ましてや今回はニューヨークの、しかもマンハッタン島で起きたことです。世界資本主義(グローバリズム)の根拠地であり、世界中の富を強奪して肥え太った街です。毎日、毎日、罪もない、いたいけない子どもたちを何万人も殺すことで成り立っている街です。アフリカ諸国が払い続けている巨額の利息は、結果的にはそのほとんどがニューヨークに集中しています。この10年間、ニューヨークは金融業でも繁栄を謳歌してきました。自らは何の価値も生み出していません。世界中の人々が汗水をたらして生み出した価値をかすめ取っているのです。そして貧富の差はますます広がっています。
 それにしても、自分たちが悪事を働いていることに何と無自覚なことか。
 資本主義とは人間の欲望を組織するシステムであり、同時に、失望と憎しみを生み出すシステムです。そのことをまざまざと見せつけられました。

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人民新聞社

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