楽しみながら街に出よう!
投票率80%を達成して有名になる

 それがどーした!

いろんな人と知り合って、新しいこと、自分一人では

できなく諦めてきたこと、やってみる?

TT21(とにかく楽しむ21世紀)

2001年 4月15日
通巻 1074号

 「それがどーした!」。TT21の合い言葉だ。「TT21」とは、「とにかく楽しむ21 世紀」。彼女らは、昨年末、夜通しカウントライブを行ったかと思えば、ホームページで、「日本の労働時間について」「部落差別って何 」とのマジな議論も行う。主にインターネットでメンバーを募集し、男女比はほぼ半々だが、20才代の女性たちがサークルを「仕切」る。
 毎月飲み会を開催してメンバーを拡大し、わずか半年の間に6つのイベントをやってのけるエネルギーと、インターネット・携帯電話を駆使して、連絡のみならず議論もやってしまうという方法は、いかにも今風だ。
 「何をめざしているの 」との問いに、決まった答えはない。「こんなんやってみいひん 」との呼びかけに「それ、おもしろい」と感じたメンバーが応じる。「目的」とか「正義」「価値」という「議論」は「それがどーした」とすっ飛ばし、即断即決すぐ仲間集め、という身軽さが、 の真骨頂といえる。
  TT21は、今「投票率80%」キャンペーンに取り組んでいる。8年前、市議の「カラ出張」で議会を解散に追い込んだ尼崎で、6月に行われる市議選の投票率を30%!引き上げようというのだ。これまで投票に行かなかった若者が自分の目で見て選択すれば、議会も変えていけるのではないか  地域や「政治」にあまりに遠すぎた自分たちがまず変わろう、と市役所に足を運び、ホームページにその成果を発表する。
 「政治」との接点を「理屈」でなく「感覚」で捉え、楽しく街へ出る。そんな若者サークルを取材した。

                             (編集部)

 

投票率80%キャンペーン

 「みなさーん!6月に誰でも参加できるビッグイベントがあるんです。なんだかわかりますかー?」駅前に彼女たちの多少子どもっぽい声が響くと、通り過ぎる人は、必ず振り向く。若い女の子・マイクといえばカラオケだが、彼女たちは「街頭」で「投票」を呼びかける。歌も歌う。仮装もする。代わる代わるマイクを持ち、それぞれの言葉で、「自分の目で見て考えよう!投票率を80%に!」と呼びかける。
 前回50%を切った投票率を80%まで引き上げようという「非常識」なキャンペーンだ。都市部の投票率はせいぜい60%。市議全員によるカラ出張による出直し選挙でも57%余だった。

 「80%を達成すれば、全国ニュースいや世界のニュースになるかも知れない」。動機はシンプルだ。彼女たちの勝算は「私たち自身が議会に興味がなく、投票に行かなかった。こんな私たちが、今選挙に関わり、知る楽しみを味わっている。適切な情報さえあれば行くはず」。また、「議会と議員の実状を知り、投票に行けば古い議員は皆落ちる。新しい議会が創れる」というものだ。
 シール(下参照)を1万枚作った。友達に配り、飛び込みの家庭訪問をしてシールを玄関に貼ってもらうという。候補者全員を集め、候補者と有権者の「生」の出会いを作る「就職説明会」ならぬ「候補者説明会」も企画している。マスコミやタウン誌に取材の申し入れをし、地域FMにも生放送で登場した。「できそうもないことをぶち上げて、ほんとにやって有名になる」という。

TT21がつくった「めざせ!投票率80%」のステッカー

いろいろ考えるよりは、行動していったらいいやん

  メンバーは、ほとんど20歳代。学生・フリーター・派遣・コンピュータープログラマー・CGデザイナー・大学講師など、無職・有職さまざまだ。インターネットで参加者を募集しているだけあって、大半のメンバーがパソコンを使いこなす。
 彼女たちのエネルギッシュな行動の目標は何なのだろう
 まず彼女らの「行動原理」を紹介する。
▽人まかせにしない自分を作る街づくり
▽考えることを大切にする
▽納得するまで話し合う
 これをまとめるまで、3日間の「ミーティング」をした。人まかせにしない自分を作るために考えることを大切にし、納得するまで話し合う。「自立と連帯」を彼らなりに表現し、「街づくり」を考えることで、「議会」や「政治」にも関わっていこうというものである。
 代表の松村史邦(27 才・女)さんは、「難しいことや、まじめなことだけでもおもしろくないし、だからってチャラチャラしただけのサークルでもおもしろくない。とにかくいろいろ考えるよりは行動していったらいいやん」と呼びかける。
 これまでに打ったイベントは以下の通り。
▽ PEACE-STREET/PEACE-WALK/緑地公園ピクニック/成人式おめでとう キャンペーン/みんなでスノーボード/みんなで料理して食べよう会、など。
 今後も、わくわくアート不思議館〜みんなで作る美術館〜小学校校舎を現代アートで埋め尽くせ!/みんなでハンドベル、などが予定されている。

語る楽しみ

  ホームページへのアクセスは、半年で4000を突破した。特に掲示板へのアクセスが多い。「現在の話題リスト」を見ると、何やらおもしろそうなテーマも。
▽人間関係って難しい…
▽自立ってなんやろ
▽男女の親友って成り立つ
▽苦労は買ってでもしろという言葉がありますが、どう思いますか?

という若者らしいテーマから
▽日本の労働時間
▽なんでゴミがでるの?
▽議会ってなんだろう?
▽駅前の自転車ってどうやったら減る?
▽みなさんは障害を持っている人たちをどう思い、どう見てますか?

など社会派のテーマまで、タブーはない。
 「日本の労働時間について」では、▽「生み出した利益や価値に比例して給料払う方が、公平な気もする。そんなわけで、裁量労働制ができたんやろね」。▽「私はサラリーマン時代の自分のサラリーにはこだわりがありました。それは1000万円が欲しいのではなく、アンタの仕事には1000万円の価値があるよ、と認めて欲しかったからです」。▽「労働の『満足感』と『賃金』は、反比例すればいいと思っています。賃金が安くても、自分がその労働に価値と喜びを感じていれば、安くても続けていける」と、何やら「労働とは何ぞや 」という議論も展開されている。「議論はすっ飛ばし」と書いたが、「けっこう考えてるやん」と恐れ入った次第。
 最後にTT21からの呼びかけを掲載する。
 「楽しいことっていろいろあって、一生懸命やり遂げる楽しみとか/知らないことを知る楽しみとか、人それぞれで/だからこそいろんな楽しみを実際に楽しんで生きたい/そんな集まり/ここに来て、いろんな人と知り合って/新しいことを始められたらそれでいい/自分一人ではできなくて諦めてきたこともやってみる /いいやん、考えるより何かしようや。」
 彼女たちは、今後「阪神間に支部作りを」と抱負を語る。新しいムーブメントの形なのかも知れない。

 

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