公安の不当弾圧には屈しない

公安・マスコミへの

徹底した反撃を呼びかける

2000年 11月25日
通巻 1061号

 

本紙前号(通巻1060号)で日本赤軍・重信房子さんの逮捕に当たっての本紙の見解と、弾圧への警戒と反撃を呼びかけるアピールを掲載したが、11月21日(火)、大阪府警・警視庁合同捜査本部は、ハーグ事件、旅券法違反、犯人隠匿などの容疑で全国48ヵ所への不当捜索を強行、2名を逮捕した。中でもハーグ事件関連で行われた33ヵ所に及ぶ家宅捜索は、本号ウナディコムのアピールにもあるように、救援関係者らを一方的に「日本赤軍と関連」と決めつけ、事あるごとに繰り返される「定例ガサ入れ」とも言うべき不当なもの。現に、「君は関係ないのはわかっているが、警視庁がやれと言うもので」などと捜査員が言い訳するフザケタ話も。公安はマスコミを使って情報を小出しに流し、さらに「支援者」のデッチ上げを狙っており、2次、3次の弾圧も予想される。再び厳重な警戒と断固とした反撃・徹底した暴露を呼びかけたい。本号では、重信さんの拘留理由開示公判における陳述、逮捕後に続々と寄せられている意見、弾圧への抗議声明をまとめて紹介する。

 

そ の 他 の 資  料

拘留理由開示法廷に際して

   2000年11月16日(木) 日本赤軍 重信房子

「拝啓 重信房子 様」(重信房子さんへの手紙)

 

 

公安の見果てぬ世界革命の夢と
一網打尽の思想―――― ●高槻 肇


 11月8日、アメリカ大統領選の開票結果を伝えるニュースが続々と伝えられ、全国民の熱い耳目が、ラジオ・テレビに注がれるさなか、晴天の霹靂の如く、テレビのテロップに「日本赤軍派重信房子逮捕」の一報が流れた。その後も、覇権大国アメリカの二一世紀のリーダーを決める荘厳なドラマのフラッシュ・バック効果よろしく、重信逮捕のニュースが逮捕状況から警視庁への移送まで延々と流れた。片や、世界の覇権の頂点に立とうとする男、片や世界革命の「女闘士」……絶妙の取り合わせだ。だが、男は不安と緊張の面持ち、一方、女は余裕綽々の笑顔。
 雑踏の中に設置された大型テレビ画面に、ふと足を止めて見入る父親の側で、幼い男の子が父親に尋ねている。「お父さん、セキグンって何 」「ウ〜ン……、コワイ人の集まりだヨ」「でも、あのオバチャン笑っているヨ。何したの 」「ウ〜ン……、子供は、まだそんなこと知らなくってもいいの。ともかく、悪いことした人なの……」
 公安の演出は、なかなか乙なものである。これで、若い世代にも、未成年者たちにも「セキグン」をくっきり印象づけれただろう。何しろ新入りの公安課のポリや駆け出しのブン屋が生まれる前に起こした事件絡みばかりだからだ。
 さらに、21日の一斉ガサ入れに至っては、何とも粋なお取り計らいであった。世論の大きな期待を集めた内閣不信任案が大番狂わせで、「フライパンの上で踊っていた猫」を密室におびき出し、恫喝と慰撫のカクテルを飲ませ腰砕けにさせ、心ある庶民が意気消沈し眠れぬ夜を何とか床に入った寝首を掻いたのである。
 思えば、今年はセキグンの年であった。タイで偽ドル事件を起こしたとアメリカCIAが喧伝した「よど号グループ」(公安が名づけ親)の田中義三が無罪判決後帰国し、足立正生ら「日本赤軍」メンバーが強制送還され、「よど号グループ」の家族も年内に帰国を開始する。赤軍メンバーが我が国で一堂に会するなら、ここらで大きな一石を投じておかずばなるまいという次第である。
 そこで、天下動乱のご時世にひとり天下泰平を謳歌し、在庫人員過剰で縮小が囁かれる公安課のポリとしては、生活権を賭けて、赤軍派の代理人よろしく世界革命という見果てぬ夢を追う同志を、恙なく暮らしている市民の中からリクルートする挙に出たのである。さもなくば、今や「一番アブナイのは警察官」という市民感覚が定着しかねないからである。
 かくして、良心的な先進的医療に携わる病院が「赤軍派の病院」となり、生徒の信頼も厚く勤務態度も申し分のない学校教師が「赤軍派の教師」と相成ったわけである。御念が入ったことに、あのなつかしい「若松プロ」までが、ガサ入れでリバイバル出演ときている。これを機に、赤軍の「セ」でも匂う人間なら片っ端から「世界革命」にリクルートし、牽強付会を極めても事件化できない件は、ガセネタをリークしてマスコミを動員し、雰囲気を盛り上げていこうという訳である。これが、暇に飽かして体のなまった役立たずの公安が、食っていくために考えついた浅知恵である。自分たちが食っていくためなら、善良な市民の生活権など、問題にならないのである。生活権もろとも、根こそぎ一網打尽という訳である。
 みなさん、善良な市民の家族と生活と権利は、力を合わせて、我々自らの手で守りましょう。くれぐれも、公安警察の手で「赤軍派」にリクルートされないように気をつけて下さい。重信自身が、「将来、大手を振って活動できる準備のために、(逮捕覚悟で)帰国した」と言っているように、今の日本で誰が「世界革命」「革命戦争」を本気で考えているでしょう。食っていくために、存在意義をアピールするために、退職まで「赤軍派」「世界革命」を必要としているのは、彼らを良く知っており、彼らにメシを食わせてもらってきた、彼らと同年代の、ほかならぬ古参の公安警察の諸君なのです。
 田中義三は公判過程で帰国の意思を表明していたし、重信もまた然りである。彼らは「逃亡」していて、「強制送還」「身柄拘束」されたのではなく、帰って来たのである。

 


「特集」〜重信さん逮捕関連へ

 

人民新聞社

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