ドロボー、税金ドロボーが

やって来た!
コー安ガサガサ物語、恐怖の悪足掻き

高槻 肇

2000年 12月5日
通巻 1062号

 一般庶民が長期不況の折、生活不安に喘ぐ中、暇をもて余した生活苦とは無縁な脳天気な税金ドロボーが、またもや一斉にやって来た。「ゼーキンだ、使えば使うほど仕事をしているように見えるゾ」と言わんばかりに、まるで「20世紀にやっておきたかったこと」が「希望の21世紀」の弾圧であったかのように、またゾロやって来た。再び一斉ガサだ。
 普段のダラな生活のイメージを一挙に払拭せんとばかりに、土日の休みの朝早く、警視庁公安部公安第2課警部補(2000/12当時)の岡野茂夫で〜す静かに眠る市民を叩き起こし、開口一番、「ワシら、桜組や。冷戦体制が崩壊して、お前らも苦しいかも知れんが、ワシらは冷戦体制の申し子やから、ワシらも今ギョーカクギョーカク言われてだんだん苦しくなっとるんじゃ。悪う思うナ。背に腹はかえられんからノー。元はと言えば、お前らが元気のーなって一所懸命過激な活動せんから、こんなことせんとあかんようになるんや。挙げ句の果てに、朝鮮半島統一まで言い出しより、ワシらの親分まで、在日外国人の地方参政権なんて言いだしヨル。まったくメシの食い上げやで」
 「課長、キレイにかたづけてありますよ。何を捜したらよろしいんですか?本か生活用品ぐらいしかありませんよ。こんな狭いとこ夕方までやってたら引っ越しができますよ。マルクス、エンゲル(?)とか書いてある本見たらよろしいんですか?」


 「アホ!そんな古いドタマしとったら、こいつらもすぐ弁護士に言いよるし、ダイイチ世間に笑われるゾ!なんぼワシらの「会社」の前身が泣く子も黙るトッコーやから言うて、ジダイ考えんかえ。お前ら何のためにダイガク出とんのや。ワシらの先輩が、どれだけ苦労してワシらの「会社」を残してくれ、冷戦体制の中でここまで「会社」を大きいしたか、ちょっとぐらい考え!今は時代が変わったんや!ともかく、字捜せ、字を!フロッピーでもなんでもええから」
 「課長、郵便受けにピンク・チラシが入ってますヨ」
 「ドアホ、ワシらのシュショーが下ネタでパクられてるのを必死に隠さんとあかんのに、なんでピンクチラシなんやね。ダイイチ、お前にそんなこと言う資格ないやろ。シゲノブはん見習え、シゲノブはんを…。もっと目的意識を持って、頭を使って堂々とやれ!」

 

 「奇妙なことに、警察内部には“重信ファン”としか言いようのない公安警察官が少なからず存在する。国内において先鋭化し、陰鬱に内向化していった赤軍派や他の新左翼セクトに比して、パレスチナに渡って結成された日本赤軍、中でも重信房子というシンボル的な女性闘士に、理想と姿勢を変節しない自由で叙情的な雰囲気をかんじるからだろうか。(中略)「重信は大したものだ」「他の奴らとは違う」「いつか俺が取り調べるんだ」――そんなセリフを警察庁や警視庁公安部の日本赤軍担当者の何人かは、隠しもせず口にする」

(『日本の公安警察』講談社現代新書)

 

 「課長、ここに飲み残しの缶ビールのコースター代わりに使ってある『ジンミン新聞』がありますヨ。それにしても、この連中アタマが古いですネ、今時、ジンミンなんか?」
 「おい、それや。重信ハンも「人民革命党」言うてたやろ。キーワードは「ジンミン」や。見せろ。ホラ、見てみろ、1面に年末カンパの呼びかけで、「人民新聞は、新しい人々とのつながりを求め、次の世紀を民主・自治・共生にもとづく希望の世紀にすべく大きな飛躍を勝ち取りたいと思います」と書いてあるやろ。これや、これやがな。これが、「希望の21世紀」の組織化指令書やガナ。そうや、カネと情報の流れを掴むのが大事なんや」
 とは言わなかったが、とりあえず雰囲気だけは伝えておく。

 

公安にパソコンというオモチャを与えるな

 だが、笑って捨て置くわけにはいかない。「希望の21世紀」が「人民革命党」の大衆組織部門ということで、パソコン・データーを根拠に次々とガサを入れているのだ。
 重信が始めようが誰が始めようが「大衆運動」の何が悪いというのだろう。フロッピーが押収され、元々入力もされてなかったデーターが、証拠品として採用されるのである。「セキグン派」「重信」という名さえ冠すれば、どんな大衆運動体にでも手を出せるのだ。もう、やりたい放題だ。暇があるから何でもできる。俺が「世界革命構想」なるものを入力し、その組織対象として、「民主党左派」「社民党の一部」「自民党の○×派××」「共産党××フラクション」等々といった具合に組織図を描き、要となる人物の住所と電話番号を入力すれば、自民党でも民主党でもどこでもガサを入れれるという次第だ。
 IT時代の暴走する「セキグン派」とは、実はデスクワークに閉じ込められ目標を失ったコー安K察である。暇を持て余している彼らにパソコンというオモチャを持たせると、とんでもないことになる。
 財政破綻の我が国で、亡国路線の先端をひた走っているのはコー安だ。もう、21世紀はコー安を必要としていない。彼らが26万K察官の中でエリート面をする限り、実直な市民警察官はストレスが溜り自暴自棄になり、犯罪に走る一方である。彼らは「社会のゴミ」であり、国のお荷物なのである。
 彼らが精神医療の現場に土足で踏み込み、患者の神経を蹂躪し、一般庶民の家に押し入ったことは、もはや「犯罪」である。日本の民主主義は、メシを食うためになりふり構わぬ彼らを甘やかすほどはヤワではないことを、彼らは身をもって知ることになるだろう。
 おいおい、それにしても裁判所もホイホイ令状を出すなよな。

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人民新聞社

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