新聞社へのガサイレに断固コウギする!

電子情報への対応急ぐ公安警察

2000年 12月15日
通巻 1063号

公安の情報収集は、急速にIT革新に対応している


 やっと来ました、編集部へのガサイレ。前号で「公安さん、いつでもいらっしゃ〜い」との呼びかけに、早速お応えいただいた次第。ホームページもよく見てるそうで、「ガサイレってドンなんかな〜」の感想も聞けた。「抗議声明」は下記の通りだが、ガサイレの具体的な様子や、特徴をお知らせする。(なお、今回は力ずくで写真撮影を妨害され、なおかつ数枚撮影したフィルムも押収されたため、残念ながら写真はない。返還され次第掲載する)



▼ 第1の特徴


 何といってもコンピューター・電子情報への執着である。「専門家」と見られる捜査員が、かなりしつこく捜索。電子メール送受信の履歴・中身をはじめ、あらゆるデーターを探索した(電子メールのアドレス帳は、有無を言わせずコピーを持ち帰った)。
 特に暗号化したメール・文書には興味を示している。弊社では、 PGPという暗号化ソフトを使っているのだが、これを真っ先に探し、暗号化・復号化のための鍵の作成時期・形態などに強い興味を示している。また、データー完全消去のためのソフトの有無を確認し、使用状況をチェックした。
 フロッピーディスクや MO(光磁気ディスク)などの記録媒体については当然のごとく精査するが、フロッピーディスクが数枚と MO1枚しか事務所になかったため、ハードディスクのチェックに集中した。コンピューター捜索担当者に、「特別に訓練されたのか 」と問うと「そうではない」との答えだったが、作業要領の良さは、なかなかのもので、どういう情報をどのようにチェックするかというマニュアルがすでにでき上がっているものと見える。
 余談だが、この会話に若い捜査員が加わり、「うちもまだまだで、ワープロも打てないオジンがいるんだからなぁ」と溜息をついていた。警察は今、急激に電子情報化に対応しようとしているのだが、電子化に付いていけない昔気質の捜査員は、ますます肩身が狭くなっているようだ。
 今は「外注して何とかこなしている」そうだが、公安サイドのセキュリティー確保の必要性が一方であり(外注先からの情報の漏洩)、若い捜査員から見れば「遅々としている」そうだ。


▼ 特徴その2

 コンピューターのメーカー・製造番号、使ってるソフトも控えていった。例えば、メールソフト。編集部は、アウトルックを使っているのだが、ベッキーというメールソフトを特定して探していた。また、ホームページ作成ソフトも何を使っているのかをチェックしている。
 また、モバイル・コンピュータ(モバイル・ギア系と特定して)に対する関心も非常に高いものだった。デスクトップ・コンピューターにモバイル・ディバイスがあるのに現物のモバイルがないのを見て、どこかにあるはずだと捜索した(無駄な努力に終わったが)。



大量動員し、力ずくの捜査

▼ 特徴その3


 写真撮影をさせない。前号で、編集部員宅へのガサイレを写真入りでレポートしたが、かの際は写真撮り放題だったのだが、今回は、捜査員ほぼ全員大きなマスクをして登場し(「警察で風邪が流行っている」そうです)、こちらがカメラを持つと暴力的に妨害、おまけに数枚撮った虎の子のフィルムも押収していった。前回のレポートがよほど堪えたのだろう。
 この件については、法的措置も含めて反撃する。


▼ 立会人の制限が厳しい

 当初警視庁側は、立会人を1人しか認めようとしなかったが、押し問答の末、2人確保するのがやっとだった。9人の捜査員に対し立会人1人はあまりである。
 しかも、立会人を制限するという捜査の不当性を訴えるため弁護士に電話しようとしたのだが、電話を抱え込んで力ずくで妨害した。
 公安は前回の失敗を総括し、捜査員を増員し、写真撮影に備えている。(ちなみに、前回のガサイレに来た捜査員が今回も来たので、「おまえ、上に怒られたやろぅ」と聞くと、憮然として「誉められた」と答えた。(ホ〜)今回の捜査員は、全員ホームページと新聞に目を通している。
 重信氏逮捕を口実とした弾圧はまだ続く。法的措置も含め、反撃を開始しよう。

 

抗議声明


 12月20日午前9時44分、警視庁公安部公安第一課・須藤雅敏他9名の公安が本紙事務所に対し、また8名の公安が東京多摩支局に同居するB社(現在は連絡先のみ。B社が支局とは何の関係もないことは公安もとっくの昔に承知していることだ!)に対して、奥平房子(重信房子)さんに関する「有印私文書偽造・同行使、旅券不実記載、旅券法違反」容疑で不当捜索を強行した。今回の不当捜索は旅券法違反云々の容疑なぞ単なる口実で、本紙がこの間、重信さんの中東レポートを掲載し、重信さん逮捕以降、不当捜索への反撃・暴露を呼びかけ紙面で掲載し続けてきたことへの弾圧・イヤガラセ以外の何ものでもない。我々は報道の自由、思想・信条の自由を踏みにじるこの不当捜索に断固抗議する。
 捜索がいかにいい加減でデタラメなものであるかは、不当に持ち去った押収品がよく物語っている。マスコミ用に用意していた中東レポートのコピー、新聞編集上のメモやフロッピー、個人の携帯電話、当日のガサ入れを撮影したフィルム(前号の「ガサイレってドンなんかな〜?」が余程こたえたらしい)など11点。明らかに容疑とは何の関係もないたったこれだけのものを押収するのに、東京から税金を使ってわざわざ9人もノコノコとやってきたのだ!
 一連の事態に対する本紙の見解はこれまでも繰り返し明らかにしてきたので重複は避けるが、「立場や党派を問わずさまざまな問題を紙面を通じて多くの人々に紹介し、相互批判・論議の場を保障し創り出していく」という基本的立場には、何があろうがいささかの変更もない。現在、公安は被逮捕者への再逮捕を繰り返すことによって拘留・取り調べを引き延ばし、一方で情報を小出しにしながらマスコミを使って「赤軍関連」キャーンペーンを展開、弾圧の一層の拡大を目論んでいる。公安共のやり放題をこれ以上許すわけにはいかない。再度、厳重な警戒と断固とした反撃を呼びかけたい。


   反撃の第一歩は徹底的な暴露!
   あらゆる弾圧の暴露、情報を本紙まで!

 

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