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2015/11/24更新

【ドイツ】「欧州愛国・難民排斥」と対抗行動

ヘイトデモとカウンター

ケルン大学学生・活動家 カタリーナ・ミュラー

本紙6月25日号(1553号)で、カタリーナさんの報告『G7に問題解決能力はない!』を掲載した。彼女は現在、ケルン大学で学んでいる。ドイツでの難民排斥運動と反右翼対抗行動の情況を報告してもらった。(編集部ラボルテ)

※ ※ ※

10月25日、私は独ケルン市で行われた「ホゲーザ反対デモ」に参加した。ホゲーザ(HoGeSa)というのは、「サラフィー主義者(※注)に反対するフーリガン」という意味で、右翼の暴力的な動きである。一年前、ホゲーザのデモには5000人が参加したが、抗議する人も規制する警官も少なく、フーリガンたちは、中心街で抗議する人や移民、記者を脅迫し、暴行を加えた。

自分たちの街は寛容だと思っていた多くのケルン市民は、ホゲーザのデモが行われたことを信じられず、驚いている。

今年のデモでは、状況に変化があった。ドイツ区の駅周辺では、北側にホゲーザが、南側には反対派が鉄道線路をはさむ形で対峙した。今回、フーリガンの参加者は約700人に留まり、フーリガンへのカウンター(対抗行動)参加者は、1万5000人であった。

「反右翼行動ケルン(Koln gegen Rechts)」というアンチファシストの連合団体からは、約5000人が集まったそうだ。参加者は、ケルン市内以外の地域からも集まった。警官は3500人が配備されたが、彼らは右翼の暴力行為に対抗する平和的な抗議活動参加者を弾圧するだけだった。

ドイツ区駅周辺では、朝方に少数の反右翼活動家たちが、フーリガンの到着を阻止するため駅ホームを封鎖しようとしたが、警察に強制排除された。昼頃には、400人の反右翼活動家が駅の南側と北側の連絡道路の交差点を占拠、フーリガンの集結阻止を図った。しかし、警察部隊は催涙スプレーから放水車まで使用して反右翼活動家たちを再び排除し、フーリガンたちを通させた。

付近には、市民運動団体がステージを設け、さまざまなパフォーマンスやスピーチが行われていた。難民の人たちは、市民運動団体の暖かな態度に勇気づけられたそうだ。

去年比3倍を超える難民収容所襲撃

ホゲーザ反対デモの一週間前には、ケルン市長候補ヘンリエッテ・レーカー氏が、難民受け入れに反対するネオナチに首を刺される、というテロが起きた。(レーカー氏は重傷を負ったが、回復の見込みで、市長に当選した)このレーカー事件が、ホゲーザ反対デモへの参加を増やした要因かも知れない。

去年と比較すると、今年は多くの参加数があり、ケルンで「右翼の脅威と闘えた」、という評価がある。しかし、ホゲーザとペギーダ(後述)は右翼テロに深い結びつきがあり、ドイツの激しい攻防はこれからも続くだろう。

難民収容所への襲撃は今年だけで600件以上あり、既に去年の3倍に達している。同じ難民収容所が2回続けて襲撃された例もある。さらに襲撃参加者はネオナチだけでなく、一般地域住民が加わることもある。

ナチスを象徴するハーケンクロイツの落書きから放火や火炎瓶の投擲、爆薬を使用した事件など、すさまじい状況だ。ペギーダが結成されたザクセン州では、これらの暴力行為が一番広まっている。

ペギーダ(PEgIdA)とは、「西洋のイスラム化に反対する欧州愛国者」を意味し、新たなナショナリズム運動だ。ペギーダは「欧州愛国者」と自称する一方、さまざまな現場で、反EU政党「ドイツのための選択肢」(AfD)と協同している。

ドレスデン市では、毎週月曜日に「夜の散歩」と称したホゲーザ的な右翼デモが行われている。このデモに約2万人が参加する一方、反右翼対抗行動への参加者が右翼デモを上回ったこともある。(10月19日)

ザクセン州で難民支援NGOに勤務するベンヤミン・シューマン氏(ソーシャルワーカー・政治学修士)は、以下のように解説する。

………人口に占める移住労働者の割合はドイツ各州平均で8・7%だが、ザクセン州は2・5%と低い。地域住民と移住労働者が接する機会が少ないことで、難民への偏見が広まりやすい環境にある。右派は不安と憎悪を煽って、反難民収容所の住民運動などを組織している。

一方、難民支援者は少数だ。多くの市民はネオナチの報復を恐れており、公共空間で抗議していないからだ。

難民への態度は地域格差がある。メルケル政権とメディア、市民が変わらなければ、難民をとりまく状況が悪化し、難民への暴力事件も増えるだろう。

×注×

サラフィー主義…現状改革の模範として初期イスラームに回帰しようとする思想潮流。

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