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2015/11/13更新

伊方原発再稼働

愛媛県・八幡浜市 「再稼働阻止全国ネットワーク」全国相談会・交流会

私企業の利益優先 住民の安全蔑ろ
再稼働は、国を滅ぼす一里塚

 来春3月頃と目されている伊方原発3号機(愛媛県)の再稼働を阻止するための行動が、10月31日全国懇談会(八幡浜市)、11月1日・ゲート前行動(伊方町)、1万人集会(松山市)と連続で取り組まれた。概要を報告する。同原発再稼働については、見せかけの「地元同意」手続きは終えたが、地元・周辺住民の不安は高まるばかりだ。伊方町に隣接する八幡浜市では、再稼働の賛否を問う住民投票条例制定を求める直接請求運動も始まった(11月3日、2面に詳報)。

 川内原発に続き伊方原発の再稼働を許せば、再稼働の流れは一気に加速する。原発事故が起これば、数十万人の人生が破壊され、誰も責任をとれない。増え続ける核廃棄物は「未来への犯罪」(小出裕章)でもある。原発の安全神話は崩れ、「安い電力」とのウソも明確になり、原発なしで電力は賄えることも実証された今、再稼働の目的は、私企業の利益追求のみである。 (編集部・山田)

※ ※ ※

31日に行われた「再稼働阻止全国ネットワーク」全国相談会・交流会(愛媛県八幡浜市)では、再稼働阻止に向けた5つの方針が論議・確認された。すなわち、@来年4月の電力自由化に向けて原発の電力を買わない=新電力への切り替えキャンペーンを展開する、A八幡浜市での住民投票条例運動を全国から応援する、B四国電力への抗議として本社包囲行動(11月29日・高松市)を大規模に展開する、C福島と八幡浜・伊方をつなぐ女性の連帯を進める、D次回全国相談会を来年1月30・31日・松山市で開催し、Xデーに向けた行動方針を確定するというもの。

 「再稼働阻止全国ネットワーク」は、原発立地地域を含む全国5つの市民団体と個人で構成。31日の相談会には、北海道や鹿児島など各地から約150人が集まった。会場中央には、10月15日に亡くなられた近藤誠さん(伊方原発反対八西連絡協議会)の遺影が掲げられ、最初に現地報告をした斎間淳子さん(八幡浜・原発から子どもを守る会)も、近藤さんの人生をかけた闘いとその人柄を偲んだ。

 現地報告として「伊方原発をとめる会」の草薙順一事務局長は、中村時広知事の同意表明や伊方原発の運転差し止め訴訟などの状況を説明。八幡浜市で再稼働の是非を問う住民投票の実施を目指した署名活動が行われていることも紹介し、協力を呼び掛けた。

 「STOP!伊方原発・南予連絡会」の八木健彦事務局長は、南予各地での映画上映や四国電力への抗議デモなど、伊方原発3号機の再稼働に反対してきたこれまでの活動を報告(2面参照)。既に中村時広知事が再稼働同意を表明したが、「地元同意を巡る戦いは終わっていない」と強調した。

 続いて、「川内原発再稼働阻止の闘いを振り返って」と題する報告が行われた。「川内の家」の岩下雅裕さんは、19カ月にわたる活動報告を行い、「Xデープロジェクト」として行われた「311`・リレーデモ」の意義を強調。「必死で頑張ったが2連敗。伊方にバトンタッチしたい」と期待を示した。

 相談会は、川内原発阻止運動の報告を受けて総括討議に入り、休憩を挟んで、高浜3・4号炉再稼働阻止に向けた現地の情勢報告、「原子力規制委」の動向と批判の視座、反原発自治体議員・市民連盟の報告、全国各地の運動の報告と続いた。

 伊方原発再稼働阻止闘争にむけた具体的方針は、こうした報告と議論をふまえて合意された。150人という多人数にもかかわらず、簡潔な報告と熱意ある議論を基礎に、平場で方針が作られているスタイルは、参加型民主主義の実践でもある。

 再稼働がダメな5つの理由

【逃げられない住民約5000人】

 伊方原発のある佐田岬半島は、東西に細長く原発以西の住民5000人は、事故時には船で大分県に逃げる計画になっている。しかし、津波が押し寄せたり、悪天候に見舞われると避難できなくなる。

 南北2本しかない国道と県道は、地滑りや土石流の可能性が高い危険地帯がたくさんある。陸路も海路もふさがれれば、住民は孤立してしまい、陸路が塞がれると事故対応もできなくなる。

【南海トラフ巨大地震】

 想定される震度7に対し、伊方原発の基準地震動は、650ガルと低すぎる。高浜原発は700ガルを想定しており、福島第1原発の事故時は675ガルだった。

 また、基準地震動の約2倍以上の地震が起きる確率は16%以上だが、これを無視している。

 【津波の高さは最大21b】

 内閣府中央防災会議が発表した南海トラフ巨大地震による伊方町の最大津波高は、21b。ところが四国電力の基準津波高想定は、たった8bとなっており、あまりに楽観的すぎる。ちなみに福島第1原発の津波は、想定=5・5bに対し、実際は15・5bだったのである。

 伊方原発は、中央構造線断層帯から約8qという至近距離にあり、断層が原発の真下を走っていると主張する研究者もいる。非常に危険な立地である。

 【危険なプルサーマル】

 伊方原発は、使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを混ぜたMOX燃料を燃やしている。MOX燃料は、融点が低く、燃料が溶け出しやすいとされ、不安定で危険である。放射能が高く、汚染範囲は、ウランの4倍となる。

 【瀬戸内海の汚染】

 瀬戸内海は、日本最大級の閉鎖性水域だ。ひとたび原発事故が起きれば、海水が入れ替わらず大量の放射性物質が長期間滞留沈殿してしまう。これにより西日本の住民3500万人の食料に重大な影響が及ぶことになる。

 四国電力と政府は、これほどの問題を抱えた伊方原発を再稼働させようとしている。

 愛媛新聞の世論調査(2015年2〜3月)によると、伊方原発再稼働について、反対が7割を占めている。この民意を無視し、周辺住民の安全を犠牲にする再稼働に大義はどこにもない。(「首都圏反原発連合」作成「NO NUKES MAGAZINE」 別冊より)

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