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2014/9/18更新

韓国・ソウル現地レポートC(最終回)

韓国正義党との討論会
大きくアジアへ目を向けよう

7月11日、好天のソウル市内。私たち東アジア青年交流プロジェクト韓国訪問団は、国会議事堂の隣にある国会議員会館を訪れた。韓国正義党と交流する目的のためだ。議員会館は、ソウル市を流れる漢江の中洲・汝矣島(ヨイド)にある。同じ敷地内にある国会議事堂・国会図書館とともに、鮮やかな芝生を取り囲んでいる。韓国・ソウル現地ルポの最終回は、この討論会正義党との討論会での正義党の発言を中心に紹介する。(編集部一ノ瀬)

※ ※ ※

韓国正義党は、社会民主主義を指向する中道左派政党である。国会(1院制・300議席)では与党・セヌリ党、最大野党・新政治民主連合が2大政党として議席を占める中、統合進歩党とともに5議席ずつを持つ、第3党の位置にある。

討論会は、社会的公平性と地域分権の実現に向けた政治展望、日韓交流と連帯強化が目的だ。テーマは、@韓国の6・4全国同時地方選挙に対する評価について、A日本の集団的自衛権行使容認に関する評価、B原発エネルギーから自然再生エネルギー社会への転換、の3つ。

@韓国の6・4全国同時地方選挙

韓国では、1960年以降、軍事独裁政権が続いてきた。そのため、公選による地方議会が復活したのが1991年、地方自治団体長の公選が実施されたのが1995年と、地方自治の歴史は浅い。

今年6月4日には、4年ごとの地方選挙がおこなわれた。この選挙で、広域自治団体長、基礎自治団体長、広域議会選挙、基礎議会選挙、教育長選挙が行われた。選挙結果は、与党・セヌリ党の善戦、野党の一部勝利という複合的結果に終わっている(この選挙によって、ソウル市の朴市長も再選されている)。

正義党は野党再編の中で結成された新しい政党だが、政党再編の中で、民主労総など労働・市民団体との絆は失われてしまった。連携を求めて、模索をしている最中だ。

A日本の集団的自衛権行使容認に関して

韓国は、安倍政権には、大きな危機感・不信感を持っている。「集団的自衛権」を行使することになれば、日本は米国主導の戦争に巻き込まれてしまうだろう。中国・台湾の間に戦争が起きることがあれば、日本が介入する可能性も高い。

「一国だけの平和を守るだけでいいのか」「改憲せよ」との動きに対して、「護憲」だけでは安倍政権の暴走を止められないのではないか。日本では、朝鮮半島の非核化について意識されることがないようだが、アジアへも大きく目を向けて欲しい。

韓国は、今なお戦争状態にあり、徴兵制も続いている。「戦争に行くのは当たり前」という社会の風潮がある一方で、軍隊に行くのを嫌がっている若者も増えている。

B原発エネルギーから自然再生エネルギー社会に

3・11は、韓国にとっても大きなショックだった。それまで原発については意識することもなかった。韓国は、李明博(イ・ミョンバク)政権時代に「原子力ルネッサンス」を掲げた。3・11以後も、韓国政府は「韓国の原発は安全」と言って、原発推進の姿勢を崩さず、日本と同様にUAEへの原発輸出を決め、すでに建設工事に入っている。

韓国でも原発建設・維持において多額の補助金が投入されており、日本と同じ構図になっている。一度原発に依存してしまえば、抜け出すことは難しい。地域共同体の分裂、汚職、環境汚染、核廃棄物処理など、問題は多い。「脱原発」に向けては、日本は韓国より有利な立場にあると思う。

* * *

討論会では、今後の共闘・連帯を進めること、来年2015年が日韓基本条約50周年にあたり、日韓関係の基礎となった「日韓条約」の問題点を問い直すこと、などの提案がなされ、終了した。

韓国を訪問して

今回の訪韓団に同行して、2泊3日という短期日程ながら、多くを見聞することができた。朴市長に対する現場の労働者・市民の声を取材できればよかったのだが、そうした点は今後の課題ということにしたい。

個々の政策においては、課題や批判点もあると思う。しかし、ソウル市職員の表情からは、誇りや自信を持って労働者・市民と向き合う姿勢が伝わってきた。これまで野宿者問題やがれき焼却問題で、大阪市の役人たちの官僚的で非人間的な対応を嫌というほど見てきたが、これが同じ公務員だとはとても信じられない(笑)。「予算がないから」は理由にならない。要するに、労働者・市民の目線で社会問題を解決しよう、という意思の問題なのだ。橋下市長の無責任さがより一層際立つ。

日本のNPOや市民団体・協同組合などが韓国を訪問し、視察・交流するケースは数多い(私たちの訪問先の多くで日本語の資料が用意されていた)。日韓の市民レベルでの経験が共有され、「新しい世界」を模索する動きが活発化していることは、大きな驚きだった。今後も海外の動きを、紹介していきたい。

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