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2014/5/4更新

今スペインでは 

200万人の巨大デモ
パンと住居と仕事をよこせ!

数百万人の尊厳を求める大行進 スペインを揺るがす!

4月1日『グリーン・レフト・ウィークリー』 ディック・ニコルス

スペインの全政治勢力は、マドリッドに集結した100〜200万人規模の人間的尊厳を求める大行進への対応に追われている。3月22日、各都市や町から一週間にわたって行進してきた人の波を、首都の大衆が歓呼して出迎え、世紀の集会が成立した。

この運動は、今もなおスペイン社会に浸透しつつある。スペイン労働者委員会(CCOO)やスペイン労働組合総同盟(UGT)などの主流労組連合の外から始まった運動が、どうしてかくも多くの人々を集め、主流労組連合に支持を表明させるに至ったのだろう。

理由の一つは、当初CCOOとUGTの指導部が煮え切らない態度をとってきたことだ。2011年と2012年に、国民行動の日やゼネストの呼びかけに対して、主流労組連合は1年間以上沈黙していた。どうやら、失業が増加する中で、組合員動員ができるかどうか心配していたようである。それに、思わぬヘマをやって、マリアーノ・ラホイ国民党政府に労組弾圧の口実を与えたくなかったこともあった(欧州委員会はこれを執拗に要求、ラホイ首相はこれまで躊躇してきた)のだろう。

人々を押しつぶす危機は、どんどん進んでいた。何百万人の生活と未来を破壊、世帯の貯蓄を枯渇させていった。

今年初旬、無収入の生活を強いられ続ける労働者や国民が困窮する中、CCOOとUGTの無為無策による指導部空白という事態に、様々なグループが入り込んでいった。

大行進を最初に提案したのは、失業率32・3%のエストレマドラ州で創設された「人間尊厳キャンプ」であった。このキャンプは、メリーダ市の公務員採用事務所の門前で行われた抗議運動が母体だった。公的部門に2万5千人の雇用創出と最低賃金の保障を求める集会だ。

その種からネットワークが急速に広がり、300団体、種々の社会的要求項目、数千人の個人的参加者へと脹れあがった。スペインで有名な社会運動「住宅ローン被害者の会」(PAH)や、医療費や教育費削減に抗議する「人々の動き」など、新しい参加者が増え、それに応じて要求項目も拡大していった。

抗議の渦に怯える政府

運動の中心人物は、スペイン共産党のエストレマドラ支部長マヌアル・カナダであった。彼は、戦術を間違わなければ、失業者が社会的動員の源泉になると確信していた。「人間尊厳キャンプは、労働者の15M(5月15日)運動である」と、彼はよく口にする。

彼はまた、農業共同組合の町マリナレダの町長ホセ・マヌエル・サンチェス・ゴルディヨが指導するアンダルシア労働者組合(SAT)の「超法規的戦略」も使った。SATは、飢えた人々に食物を与えるためにスーパーマーケットを襲い、公的所有地を占拠し、組合員の要求を世に知らせるために過激なデモをやることで有名である。

第1回尊厳行進は、昨年9月にエストレマドラで行われた。その当時、人間尊厳キャンプの指導者は、元統一左翼全国コーディネーターのフリオ・アンギタが指導する市民戦線(我々こそ多数派)とも連携して行進を行った。

このように指導部の層が厚くなり、そのうえATTAC(金融取引への課税を求めるアソシエーション)の主力メンバーの参加もあって、昨年末から全国的な行進が始まった。彼らは、社会民主主義政党であるスペイン社会労働党の左に位置する勢力、統一左翼やその他の同情的な労組を運動に加えた。

この「人間の尊厳を求める全国大行進」が公になると、それは数百万人もの人々が待っていたもので、宣言への支持者や支援者が急増、ついに主流労組連合も無視できなくなり、支持を表明した。

実際にマドリッドまでの全行程を歩いた人は数千人いたが、SATのアンダルシア農業労働者が一番多かった。しかし、失業者で溢れる地域を通過するたびに大歓迎を受けたことは、行進が全人民を代表していることを証明した。参加者が、労働者が居住する郊外地区で宿泊するときも、大歓迎を受けた。数十万人の行進者がマドリッドに到着。待ち受けていた同市の数十万人の市民や労働者と合流したとき、大行進は最高潮に達した。

しかし、主要テレビは、デモの終わりに警察隊と当局が送り込んだおとり工作員の間で起きた衝突事件ばかりを報道した。行進組織部は、「警察と衝突した人物たちは無関係な外部の人間」と断定した。国民党マドリッド支部長は、この行進をギリシャのネオナチ団「黄金の夜明け」に例えて非難した。マドリッドの中央政府代表部のクリスティナ・シフュエンテスは、莫大な損害賠償を要求し、行進者たちを破産させる目的で、オルガナイザーを告訴した。オルガナイザーの一人、コーディネーター部のヒネス・フェルナンデスは鼻でせせら笑い、「シフュエンテスの告訴は、恐怖の裏返しだ」と言った。「シフュエンテスと政府は、具体的な要求でまとまった民衆の巨大な抗議の声を黙らそうと、必死になっている。『債権支払いにノー!』『パンと住居と仕事を寄こせ!』『これ以上の社会サービス・カットにノー!』という声を。

人間の尊厳を求める大行進は次の段階として地方レベルで予定され、さらに4月には再び全国レベルの行進が企画されている。

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