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2012/5/23更新

【往復書簡C】津田頼子さん×遙矢当さん

2012年 介護保険法 改正        介護者は労働者として権利要求すべき

改正介護保険法が実施され、1カ月が経った。これまで津田さんと遥矢当さんに、@介護職に解禁される医療行為、A24時間地域巡回サービス、B認知症ケアと地域社会の構築について論じてもらった。今回は、介護報酬についてだ。民主党は「高齢化社会への対応」を、重大課題としながら、介護職員の待遇は大きく後退させた。未来は暗い。(編集部)

(以下一部全文は1447号を入手ください。購読申込・問合せはこちらまで。)

遙矢当から津田頼子さんへ

自分の老後に不安をもたざるを得ない改悪

今回は、やはり介護報酬改定に触れたいと思います。1月25日の介護給付費分科会、2月23日の厚労省課長会議を受け、今回の改定での、@介護職員の処遇改善、A各サービスの減算について、B将来への希望はあるか? の3点について書きます。

@まず、介護職員のために使われてきた「処遇改善交付金」は廃止され、処遇改善は大きく後退しました。介護の世界は、涙ぐましい経営努力をしています。フェアで堂々とした「稼ぐ」努力を許さないのなら、最初から介護職員に一定以上の待遇を担保すべきです。介護で生んだお金を、更に厚労省が上から下ろす施策のために充当する。声を上げなければ、私たちはますます自分自身の首を絞めかねません。

A各サービスとも、特に通所介護(デイ)と訪問介護の報酬単価が事実上減額になります。デイサービス事業者の中からは、「稼ぎすぎた」との自覚からか「減額もやむを得ない」との声も聞きます。今や、デイサービスが一番の介護報酬額を計上しています。

しかし、デイサービス業者は千差万別です。今回の減額で、デイサービスこそ、正面から抵抗すべきでした。茶話本舗のような「お泊りデイ」の事業者は、「介護甲子園」のようなイベントに現を抜かしていないで、デイサービスの将来に対する問題提起をすべきです。

Bこれから僕らが介護に掲げるべき目標は何で、どんな取り組みが必要なのでしょうか? 震災後の社会、政治の動向、消費税増税など踏まえれば、2015年の次回介護報酬改定は、更に厳しくなるのは自明です。僕は、「一人の介護人」としてというより、日々この国に暮らす人間 として、将来が不安です。今の状況で、自分自身に待っている老後とは…。今から準備しないと間に合わないと思います。

… 僕は、「あの時、介護の地位向上に取り組んでおくべきだった」と思いたくないから、これからも取り組みを続けたいと思います。

大阪市の学童保育を追いつめる橋下&維新の会

にじの木保育園園長 迫 共

大阪市の学童保育がピンチを迎えている。大阪市は今年度の補助金を半減、来年度以降は全く出さない方針である。

大阪市は4月5日、市政改革にむけての「施策事業の見直し」試案を発表し、「学童保育事業補助金廃止」を打ち出した。大阪市の学童保育は40年以上の歴史を持ち、地域社会に根ざした子育て支援の事業として知られる。放課後の子どもたちの居場所として、宿題やスポーツの指導を受けられる場として、また今どきの都市生活では貴重な、異年齢児の集団遊びを受け継いできた場として、目立たないながらも重要な役割を果たしてきた。

指導員は非常勤職員がほとんどで、薄給の報酬だけでは生活が難しい状況が続いていた。保護者から集まる指導料だけでは運営がまかなえず、頻繁にバザーを開き、カンパを募り、維持されてきた学童にとって、市の補助金はまさに生命線であった。運営費全体のおよそ4分の1、年間にして2〜300万円が1施設に対して出されてきたのだが、半減が決められた時点で立ち行かなくなる学童が多数出ることは間違いない。大阪市は「市役所のグレートリセット」を掲げているが、突然リセットされる方はたまったものではない。

公立小学校で、放課後預かり事業=「児童いきいき放課後事業」(いきいき)をやっているから構わない、という向きもあるかもしれない。「いきいき」が低学年中心の活動であるのに対して、学童は高学年まで、また「いきいき」がどちらかというと雑多な集団を対象としているのに対して、学童は近場の小集団での濃い関係性を意識して運営されている。

といっても、両者の違いの実感は利用者以外にはわかりにくい。有料の学童より「いきいき」は無料だから、小学校でやっているからいいじゃない…という意見もある。が、「いきいき」も有料化の方向なのだ。また教育委員会に委託されてきたこの事業の、民間委託も俎上にのぼっている。

一方で橋下市長らは、学校選択制と学習塾などで使える教育クーポンを配布する政策を掲げている。勘ぐった見方かもしれないが、「学童」をつぶし、「いきいき」を学習塾化させ、放課後事業でも魅力的な小学校を競わせる、という方針ではないだろうか。小学校をとりまく環境全体を、競争原理で強引に変えてしまう施策のように思えてならない。

学校選択制の問題点はすでに多く指摘されているが、人気の集まる学校に通えるのは、結局、富裕層の子どもであり、貧困層は低学力校に行かざるを得なくなる。貧困層を固定化させ、ひいては地域のスラム化を推し進める、という点が最大の問題だ。アメリカでは10年前に同様の動きがあったが、競争をあおった結果、学力テストでの不正が横行し、学力向上にはつながらなかった。苛烈な競争だけで学業成績を上げることは難しいのである。

大阪市の「施策事業の見直し」は443事業にまたがり、26年度までの3年間で548億円を削減する、と謳っている。学童だけでなく、各方面で行き場をなくした子どもや大人や老人が続出するのではないか。教育・福祉・介護・医療などに関わる人たちの連帯で、この動きを押しとどめるしかないだろう。これは対岸の火事ではない。

津田頼子から遙矢当さんへ

歳をとることが「迷惑」と言われる日が近い

@介護職員の処遇改善について

麻生政権最後のバラマキ交付金である、介護職員の処遇改善交付金。この申請の手間は面倒で、小さな事業所では大変だったようです。本来は介護報酬単価にのせるべきでしょう。だから、こんな交付金は無くなって当然だと思います。ただ、介護職員処遇改善「加算」が、暫定3年で続きます。何というごまかしでしょうか!

介護労働者は、労働者としての声をあげていくべきではないでしょうか。働く者としての権利、人間としての権利、だからこそ、介護される人の権利も大事にする人間観を育てていく大切さを痛感しています。

A各サービスの減算について

通所介護は、嘆いていますね。ヘルパー事業所は、生活支援の90分サービスを合理化するようです。私自身は、生活支援(そうじ、洗濯、調理、買物)は、週1回の安否確認を伴うサービスだと思っています。90分利用の方々が、60分に減らすか、45分×2回利用に変更することになります。ヘルパーは、声かけする時間もなく、作業に専念することになります。あるヘルパーさんが言っていましたが、午前中に3人のお宅へ仕事に入るが、それぞれの利用者ごとに、同じスーパーへ3回も買物に行くのは無駄。まとめて用事を聞いて、1回買物に行けばいいのに、と。割りをくうのは、動き回るヘルパーさんですよね。

Bこれからの介護に掲げるべき目標について

さて、自分の老後は暗澹たる思いです。人間は生きてきたように死ぬものらしいので、精一杯、いろいろな人たちと一緒に力を合わせて生きていきたいと思っています。

歳をとることが、「社会の迷惑だ」といわれる日が近づいています。誰もがとおる道を、怒りの声をあげ、元気に闘っていきたいものです。

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