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2012/4/7更新

ポピュリスト市長による組合つぶしと職員への恫喝

橋下 徹市長が全職員へ 「思想調査」アンケート

なかまユニオン大阪市職員支部長 矢野 幸一さんに聞く

橋下大阪市長が、全職員を対象とした「労使関係に関する職員アンケート」を行った。内容は、「組合活動に参加したことがあるか」「特定の政治家を応援する活動に参加したことがあるか」という、職員の思想調査。しかも、市長の署名入りで、「正確な回答がなされない場合には処分の対象」と回答を強制するものだった。

このアンケートは、労働組合・政党・弁護士会などから批判を浴び、調査を一任されていた野村修也弁護士(大阪 市特別顧問)は、「アンケートを破棄する」と発表した。しかし、同弁護士は、市特別参与の山形康郎弁護士(大阪弁護士会)とともに職員メールの極秘調査や、職場への立ち入り調査(ゴミ箱漁りまでやった、と明かしている)などは継続するとしている。

アンケートが大阪市職員・職場に与えた影響はどんなものだったのか。なかまユニオン大阪市職員支部長・矢野幸一さん(大阪市建設局勤務)に、お話を聞いた。 (編集部一ノ瀬)

(以下一部全文と写真説明は1442号を入手ください。購読申込・問合せはこちらまで。)

──アンケート調査は、どういう形で行われたのですか?

矢野…個人アドレス宛のメールで来ました。大阪市のホームページ上にアンケートが掲載され、そこで回答させる形でした。

保育所のようにパソコンが個人に支給されていない職場では、所長が保育士を集めて、みんなの見ている前で回答させられました。うちの組合員は、「屈辱的だった」と話していました。市立病院では、3交代制の職場のため、アンケート用紙での回答となったようです。

アンケートは、設問に答えないと、次に進めないようになっていました。すべて回答しないと終了できず、「白紙回答」ができない仕組みにしていたんです。また、前の設問に戻ることもできず、記入間違いの訂正もできませんでした。

──職員の皆さんは回答されたのですか?

矢野…「こんなことで処分されたくない」「嫌だけど、とりあえず出しとくわ」と、諦めて回答に応じる人が多かったですね。私の職場でも、私以外は全員回答しました。

なかまユニオンは、「違憲・違法なので、拒否しましょう」と呼びかけました。職場でも、水面下で「仕事とは関係ない」「強権的すぎる」という声は出ていました。

──橋下の市長就任で、職場の雰囲気に変化はありますか?

矢野…市役所本庁や各区役所では、橋下市長の当選直後から、職場で自由にものが言えなくなり、雰囲気がピリピリしています。

昨年11月のW選挙後に、TV局の取材に応じて「僕の民意と違う」「(大阪維新の会が主張する)二重行政は分からない」とコメントした2人の職員に対して、市長就任前の橋下氏は、市総務局に事実確認を命じました。2人は呼び出され、反省文を提出させられました。

それ以後、「橋下市長の言うことに異を唱えたら、処分か反省文」という雰囲気になりました。市役所や区役所ではピリピリして、言いたいことが言えなくなっています。今回の「職員アンケート」について、ある組合員が職場で「これはおかしいんじゃない?」と発言したのですが、同僚から「反省文を書かされるよ」と忠告されたそうです。

──今後、組合としてどんな取り組みをされる予定ですか?

矢野…アンケート調査を主導した野村修也弁護士に対する懲戒請求をおこないました。実際問題として、懲戒処分が出される確率は低いのですが、日弁連会長や東京弁護士会が、このアンケートを批判する声明を出していますので、「問題ない」という結論は出せないはずです。

また、「市長は謝罪せよ」と団体交渉を申し入れたのですが、「管理運営事項だ」として、2度拒否されました。もう1回拒否したら、「団交拒否」で府労委に訴える予定です。

今後は、「職員基本条例」「教育基本条例」に反対する取り組みが、大きな課題です。私たちは「首切り条例」と呼んでいますが、2条例は、大阪市の事業所や保育所、市営地下鉄・バス、病院などを、民間への業務委託にすることを前提にしたものです。つまり、民営化や合理化で不要になった職員、あるいは橋下市長のやり方に異を唱えるような「成績の悪い」職員は、自由に解雇できる、民間の「解雇4要件」もどこ吹く風という、とんでもない内容です。

橋下市長のやろうとしている政治は、私たち労働組合への攻撃にとどまらず、市民の生活を破壊するものです。3月17日には、大阪市内で「We are the 99%!1%の財界のための橋下政治にNO! 地域・住民生活破壊と闘う市民連絡会」の結成集会を行いました。

橋下市長の「民意を語れるのは、選挙で選ばれた私だけだ」という発言は、非常に象徴的です。「自分だけが正しい、私のやることが法律に抵触するというのなら、法律が間違いで、それを変えるべき」という、橋下市長の言動のベースになっています。私たち労働組合の主体的な闘いにとどまらず、市民の皆さんと広く協同して、世論に訴えていきます。

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