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2012/1/23(月)更新

震災から10ヶ月

不安の責任は誰が取りうるのか

遠藤修一さん(仙台No Nuke Sendai)

手切れ金としての賠償金

震災そして福島の事故から、10カ月が経った。事故後の国、東電の数々の対応の酷さ。それは犯罪だ。「直ちに影響はない」発言を連発し、国民を不安のどん底に陥れた枝野元官房長官は、今も「原子力損害賠償支援機構」担当の内閣府特命担当大臣。東電の勝俣会長も健在だ。

いまだ、国、東電の誰一人として、刑事責任を問われてはいない。その一方で、デモなどで、何人もの抗議者が逮捕された。8万円(妊婦と18歳以下の子どもは40万円)の賠償を決めた(東電社員の冬のボーナスは約40万円)。

東電も、その株主も、メガバンクも温存されたまま、税金による8万ポッキリの手切れ金である。対象は福島県内23市町村の約150万人で、賠償総額は2000億円だが、この賠償金は、東電が自己資産から出すものではない。8月に成立した「原子力損害賠償支援機構法」の賜物だ。これは、被災者を救済するものではなく、東電を救済し、原子力体制を強化するものである。この手切れ金を受け取らせさえすれば和解となる。勝俣会長のホッコリ微笑む顔が思い浮かぶ。

責任追及が進まないのはなぜ?

福島県などの自治体による対応も、犯罪的だ。福島県は、県民の被曝防護に必要な対応を、故意に放置し続けている。特に県知事の責任は重い。私は今、福島県にSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)についての事実確認を申し入れている。

原子力安全技術センターは、3/11からSPEEDIのデータを福島県庁にも送付した、と言っている。即座に公開していれば、被曝を大きく減らすことはできたはずだ。それを隠蔽したのは誰か。彼らの優先事項は常に、人口流出の阻止と交付金の獲得だ。福島市長は公の場で、「人口の流出を避けたい」と、はっきり言っている。

福島県知事についてはそれだけではない。20_シーベルト規制を国に要求したのは誰か?山下俊一を福島に招いたのは誰か?人命よりも、人口流出の阻止と交付金の獲得にばかり躍起となり、風評被害を煽り、住民の分断を図っているのは誰か?

驚くべきことに、原発被災者には、津波や地震による被災者のように、罹災証明や事故証明が出されない。それは、この国では、放射能による土壌汚染や水質汚染に対する具体的な法規定がないためだ。信じられないことだが、放射性物質は、この国の法律上では、有害物質ではない。土壌汚染対策法、水質汚濁防止法、共に「放射性物質は除外する」と規定とされており、環境基本法13条には放射能物質については原子力基本法に依るとされているものの、そこには具体的なことは定められていない。

だから、これら諸法をもとに刑事告発するのは難しいのだが、莫大な人的、経済的被害をもたらしたのは、紛れもない事実。法律の方がおかしいのだ。このような状況では、この国をとても法治国家とさえ思えない。これほどまでの酷い状況で、責任追及が進まないのはなぜか?今も1マイクロシーベルト毎時に近い値を見せる福島市では、子どもたちも含めて誰もマスクさえ付けていない。僕たちの仙台も同様に、いや、日本全体がそうとも言えるかもしれないが、不安を感じていても、それを日常で言いにくい明らかな空気がある。みんなウンザリしているのだ。

僕たちの責任として声を上げる

原発問題を一言で言い表すならば、民主主義の不在だ。国策としての利権をすべての関連機関が共有し、僕たち、国民に対する徹底的な隠蔽と世論操作が行われてきた。そこには司法までが含まれ、原発訴訟とは敗北の歴史となってしまった。

福島では、健康被害が既に現れている。だが、それらと今回の事故との因果関係を証明するのは、簡単ではないだろう。だが、そのための基盤は、着実にできつつある。その後の未来のためにも、諦めずに声をあげてゆかなければならない。それは、僕たち自身の責任でもある。原発問題の根本的な解決を考えるうえで、今回の責任追及は最も重要であり、その犯罪を司法の場で確定させることによって、電力体制の刷新が可能となる。

あらゆる連携とネットワーク化を基盤に、No Nuke Sendaiでは、頭脳、協力者を求めています。興味のある方は人民新聞社まで!

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