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2011/11/26(土)更新

 

イスラエルの「自滅型」暴力

 ユダヤ人入植者の「値札」暴力はパレスチナ人の大きな力を解き放つ

10月14日「電子インティファーダ」ジョナサン・クック

過去一年間、西岸地区でモスク放火を繰り返してきたユダヤ人極右団は、先週からイスラエル内のアラブ人聖地の破壊に乗り出した。イスラエル内アラブ人のイスラム墓地やキリスト教畜の破壊やモスク放火を行ったのだ。破壊現場には「値札」(訳注…西岸地区のユダヤ人不法入植前哨地の解体や不法行為による逮捕に対し、入植者はイスラエル警察ではなく、パレスチナ人に腹いせ報復を行った。この報復を「お前たちが支払う代償」を意味する「値札」と表現した)という単語を殴り書きして残した。右翼入植者のこういう狼藉行為が、起訴に持ち込まれたことはない。

このような犯罪を取り締まる任務を負っているのが、シンベト(秘密警察)のいわゆる「ユダヤ人師団」であるが、彼らは捜査する気持ちすらない。「ユダヤ人師団」は、軍隊など他の組織と同じように、入植者の隊員がいっぱいである。皮肉なことに、そのシンベトの報告書は、《ユダヤ人のテロ・ネットワークが西岸地区で活発化しているばかりでなく、取り締まりを受けないために、野放図に拡大している》という警告を発している。

だから先週、イスラエル北部にあるベドウイン族の村ツバ・ザンガリヤでモスクが放火されたのは、驚くことではない。

このモスク放火の前には、テルアビブの隣のヤッファで、2つのイスラム墓地が破壊された。こういう入植者暴力の目的は、国連に提起されている2国解決案を、「神が約束したユダヤ人の国を妨害するもの」として、それを潰すことにある。彼らはまったく偏狭で、ネタニヤフ首相らイスラエル指導者がすでに2国解決案を目指す和平プロセスを潰してしまったことすら 理解していないのだ。

ツバ村のモスク放火は、パレスチナ自治政府(PA)の国連請願を受けて計画された。PAがイスラエルとの交渉から国連請願へと行動を拡大したのに合わせて、入植者も反撃を拡大した。西岸地区だけでなく、イスラエル人口の20%を占めるイスラエル内パレスチナ・アラブ人をも「値札」暴力の対象にしたのだ。

過激派ユダヤ人の新戦略は、グリーンライン両側で憎悪と暴力を掻き立てることにあるのは明らかだ。「これは生存のための黙示録的闘争だ」として、イスラエル・ユダヤ人の中に多少なりとも残っているパレスチナ国家樹立への支持をなくそうとして いるのだ。だから、攻撃の的を注意深く選んでいる。

ツバ村はイスラエルに「忠実な」数少ないアラブ人村である。1948年戦争で多くのベドウイン族が追放されたが、ツバとザンガリヤの部族は、イスラエル軍と共に戦った恩賞として、ユダヤ人コミュニティの隣に居住することを許された。仕事もなく、他のアラブ系少数派と同じように差別されながらも、ツバ・ザンガリヤの若者は、祖父たちと同じようにイスラエル軍で働いている。モスクが放火された後、村の指導者はイスラエルの記者に、「我々はイスラエル建国の父の一部だったはずだ」と誇らかに語ったものだった。

反アパルトヘイト運動のような公民権闘争を

しかし、モスクが辱めを受けたニュースが広まって、怒った若者たちは、政府の建物に放火し、軍支給の銃を空に向かって発砲し、警察と衝突した。この騒動で、ガリラヤを燃え上がらせるという入植者の挑発は、一時的に成功しそうな雰囲気となった。先週の土曜日には、ヤッファの墓地破壊の報復のために火炎瓶がシナゴーグに投げ込まれ、緊張がいっそう高まった。

ネタニヤフは、一応口先ではモスク放火を非難したが、その行動は、過激派入植者とまったく同じであった。彼と極右のアヴィグドール・リーベルマン外相は、ユダヤ人の 英雄的な生存のための闘いを賛美する風潮を、一般イスラエル人の間に作り上げた。入植者と同様、彼もパレスチナ国家樹立には反対である。彼も、世界のイスラエルへの怒りは、「反ユダヤ主義によるもの」と考えている。

彼はまた、イスラエルの国家内における「少数派国民」としてのアラブ人への、国民としての処遇を見直すべきだ、と考えている。彼もパレスチナ人の全面降伏による和平の実現、あるいは、1948年にやり残した仕事として、2度目の「大規模な民族浄化」が必要になるかもしれない、と考えている。

 (以下一部全文は1431号を入手ください。購読申込・問合せはこちらまで。)

もっと効果的で長期的な戦略は、米国の反差別運動や南アフリカの反アパルトヘイト運動と同じような公民権運動だろう。イスラエルの自滅型 の行動に憤慨している世界に向かって発すべきスローガンは一つ、「一人一票」だ。

次にパレスチナ人がつけることになる「値札」は、「ユダヤ人至上主義者」にとって、相当高いものになるだろう。

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