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2011/11/18(金)更新

やればやるほど 困難さ見えてきた除染作業

子ども福島・世話人/市民除染プロジェクト 深田和秀

福島県は、人口流出を抑え、他府県に避難している県民を呼び戻すために、除染キャンペーンを強化しています。渡利地区のような高い線量の場所を下げる必要があり、汚染値が下がったというデータが欲しいので、モニタリングポスト周辺を除染するという誤魔化しまでやっているようです。モニタリングポストの除染をやったという除染業者から、話を聞きました。

実際、福島市渡利支所設置のモニタリングポストで は、9月2日に2・25〜1・47μSV/hだった空間線量が、11月2日に0・98μSV/hまで下がっています。このように県、市は、1μSV/h以上の所が少ないような演出をし、報道もされています。

県は、最終的に空間線量が1μSV/h以下の地点は、観測そのものも中止するという合意を作り、報道で流したいようです。

除染利権握る原子力開発機構

原発を推進してきた原子力開発機構が、除染を指導する中核部隊となり、除染の方法や業者選定の決定的とも言える影響力を持つようになっています。実際、「原子力機構を通さないと除染費用が出ない」といった不満が、地元市町村からも出ています。

原子力開発機構は、高速増殖炉「もんじゅ」の開発など、核燃サイクルを研究してきた独立行政法人で、電力業界と二人三脚で原発を推進してきた当事者です。

県や市町村に放射能についての知識や技術がないのが原因ですが、原子力村の一角である開発機構が、アドバイザーとして除染を取り仕切ること自体に、不信感を持たざるを得ません。

除染業者の資格制度も、原子力機構が元締めです。講習会を主催し、その講習会への参加資格も同機構が決めています。これが新規参入のハードルとなり、結局大手建築業者などに有利となります。また、政治がらみの業者が、除染事業を優先的に受注するという癒着も、予想されます。こうして、除染費用も割高になっていくでしょう。

8月末に民・自・公が国会 審議なしで成立させた「放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法」(以下「除染法」)では、事実上、原子力安全委員会が除染基準を作ることになりました。これは、関係の深い原子力機構に除染事業を集中させる狙いだと言われています。

(以下一部全文は1430号を入手ください。購読申込・問合せはこちらまで。)

明確にすべき東電の責任

「福島の除染は政府が責任を持つ」と言っていますが、実際は県、市に丸投げし、さらに住民に責任を押し付けようとしています。

一方、県内の市町村は、予算規模もスピードも、バラバラです。原因は、責任の所在が曖昧だからです。どれほどの金がいつ支払われるか不明なため、予算を組めないのです。汚染発生源である東電はもとより、電気事業者連合会、国が「一木一草」におよぶまで元に戻すのが当然の責務であり、その間の健康被害を避けるための「避難、疎開」措置も、当然の義務です。

除染活動が福島に住民を留まらせ、あるいは帰還させるためのキャンペーンとして使われていることには、強い憤りを感じていますし、何より、責任の転嫁により被害者である住民が危険な除染作業に駆り出されることは、我慢ならないことです。

結局、私にとっての除染作業は、除染を技術的に社会的に可能であるかを検証すると同時に、不可能性も身をもって経験することになりました。

大量の放射能がいったん環境に漏出すると、現状復帰は不可能で、「除染」は、ほんの一部の放射能を管理下におけるだけです。それをもってしても、原子力発電は即座に止めるべきです。

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