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土こそ農民の宝 生活の根を奪う移住

有機農家(飯舘村)高橋日出夫(61歳)


飯舘村で有機農業を営んでいた高橋日出夫さん(61才)は、6月11日、30年余耕した田畑と家を残して、福島市松川町に避難した。4月22日、飯舘村に避難命令が出されたからだ。94才の母親、知的障害と重い心臓病を抱える弟さん(57才)と同居している高橋さんは、心臓病悪化で寝たきりになった弟の介護を考えると、仮設住宅は無理と判断。福島市に住む娘夫婦の伝手で、倉庫を改造した空き家が見つかり避難した。

「原発事故で、田畑も地域の絆も、全て奪い去られた」―事故発生当初は、「怒りに体が震えた」という高橋さんは今、「村の仲間も同じ苦難のなかで生きている。自分で何とかしないと」と思い始めている。介助が必要な家族をかかえ、いつ自宅に帰れるか?めどすら立たない。「ここで生涯を終えたくない」と、静かに語る高橋さんに、避難者の置かれた過酷な現実を聞かせてもらった。(編集部・山田)

人並みの幸せが奪われた

飯舘村・関根松塚地区は、「豊かな農村だった」(高橋さん)という。

高橋さんは、同地区有機農業の草分けだ。30余年前、「安全でおいしい野菜を届けたい」と、有機低農薬栽培を始めた。当時26才。有名な有機農家リーダーだった霊山町(現・伊達市)の高野金助さんの応援も得て、「消費者も生産者も納得できる価格と品質」をめざし、有機低農薬野菜から出発。園芸農に転換した後も、野菜時代の有機の土作りが生きて、「いいものができた」。10年程前に自宅を建て替え、3世代が仲良く暮らし、嫁いだ娘には孫もできた。

ところが、「ようやくできた人並みの幸せ」が、放射能により根こそぎ奪われた。

農地の放射線量は、12000bq/`。政府基準(5000bq/`)の2倍以上。飯舘村内は、4月のうちに作付け中止が通達された。汚染を避けられたビニールハウス内の土壌を測ってみると、50〜80bq/`。来年なら作付けは可能だが、「飯舘村産を消費者は買うだろうか?」。デリケートな温度管理が欠かせない園芸農業は、1時間以上かかる避難地から通いながら育てるのは、「全く不可能だ」という。

 移住へのためらい

高橋さんは事故後、スクールバス補助員として働き始めた。飯舘村は、全村避難措置に伴い、児童生徒に対し分散授業を実施している。9台のスクールバスで自治体を回り、子どもたちを避難先から各学校へ送迎するのが高橋さんたちの仕事となった。

同じ仕事をする息子さんと合わせて、月20万円の収入。補償金の仮払いで何とか生活しているが、自宅建て替え費用のローンは、7年残る。

代替地への移住も考えるが、営農の厳しさを知る高橋さんは、躊躇している。親から基盤を引き継いで就農し、長い年月をかけて土を作り、技術を磨いてきた。それでもぎりぎりの生活だ。自然条件が違う土地で、基盤作りから始めねばならない。

(以下全文は1423号を入手ください。購読申込・問合せはこちらまで。)

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