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【福島のいま】佐藤幸子さん(原発震災復興・福島会議・代表福島子どもの命を守る会・代表)が語る

「安全を信じたい人々」と「危険を知る人々」─放射能禍が福島の人びとをバラバラにした

自立した運動(自主測定自主除染)で放射能から子どもを守る

「半径30q以内に対策本部を持ってきなさい!」

「これは福島市内の小学校の土です。文科省が決めた3.8μSV/時間を超えない土です。安全だというならこの土をなめてください」―佐藤幸子さんは、「子どもに年20_SV基準の撤回を求める政府交渉」(5月2日)で、文科省官僚に、こう迫った。

佐藤さんは、福島子どもの命を守る会・代表。自然農法を営む農民であり、5人の子どもを持つ親でもある。政府は、「1_SV/年」基準を20_に引き上げた。同基準は、18才未満立ち入り禁止である放射線管理区域に指定される汚染度だ。

福島の人々は今も、避難するか、留まるかの間で揺れ動き、家庭でも地域でも「安全を信じたい人々」と「不安を抱える人々」との葛藤が渦巻き、家庭崩壊も起き始めているという。

「安全な所でのうのうと生活している人たちに、福島の安全を決められたくない。半径30`以内に対策本部を持ってきなさい」―こう政府に迫る佐藤さんの福島での活動と主張を紹介する。   (文責・編集部)

 「安全」と「危険」 分断された民衆の意識

地震直後、まず頭に浮かんだのが、ヘルパーを派遣している利用者さんの安否確認でした。手分けして状況を確認し、車のガソリンを満タンにして自宅に帰ったのが、夜の11時でした。

停電の中、子どもたちが夕食を用意してくれていて、食べ終わった後、次に頭に浮かんだのが、原発が大丈夫かという不安でした。

原発事故の発表はまだでしたが、山形で養鶏をやっている友人に頼んで、子どもたちは、すぐに避難させました。反原発運動をやっていた人々の多くは、地震直後に避難したようです。

停電でテレビから の情報も途絶えたので、原発事故と放射能汚染をわかっていた人はごくわずかで、福島県民は何も知らされないまま、ガソリンや水を求めて、屋外で何時間も列に並んでいたのです。

水素爆発で事故の重大さが伝わると、県民の気持ちは一変しました。「直ちに健康被害はない」という政府見解を信じたい人たちと、「大変なことが起こっている」と不安を持った人との深い溝ができて、気持ちの余裕がなくなり、家庭でも地域でも険悪な空気が流れていきました。真っ先に避難した人を「自分たちを見捨てて逃げていった」と非難する現象も起きました。

子どもの命を守るのは国でも学者でもない

デイサービスの事業所では、妊婦や若いヘルパーにすぐに避難するよう説得。私は、「避難しない」と決めた人たちと、事業所に寝泊まりしながら介助事業を継続しました。

3月末に、ガイガーカウンターを借りました。介護事業所で、数値が上がったら避難するためでした。「ホットスポット」という言葉もよく知らない頃でしたが、子どもたちの安全を心配する保護者たちが、汚染のひどい所を探して、除染するまでは学校を再開しないよう求める動きを始めたので、私も協力してあちこちの測定を始めました。

学校の校庭、U字溝などを測ったところ、驚くほど高い数値が出たので、県教育委員会にデータを示して、@県内全学校の測定、A通学路を含めホットスポットの除染、Bその間は学校を再開しないこと、を求めて記者会見をしました。が、県が子どもの健康アドバイザーとして雇った広島大学の神谷研二先生は、子どもたちが校庭で遊べなくなっている現状について女性記者から質問され、「屋内退避指示地域以外は問題ない。外で遊ばせてよい」と即答しました。

これを聞いて、「福島の子どもたちは、殺されてしまう」と直感しました。自分の手では何も調査もしていないのに、「安全」と言い切るような学者を、私は信用できません。

子どもたちの命を守るのは、学者ではないと思い、自主調査を始めました。

県も測定を始め、その結果から、75%の学校が、18才未満立ち入り禁止である放射線管理区域に指定されなければならないほどの汚染度であることがわかりました。

この結果を基に、4月17日に県内各市町村長に、子どもの安全に関する進言書を出しましたが、19日、政府は、暫定基準値として「20_SV」を発表しました。

私たちは、この「20_SV/年」の基準撤回を求め、21日に文科省交渉を行いました。この数字について、内閣官房参与を辞任した小佐古敏荘東京大学教授は、「とんでもなく高い数値で、人間として受け入れられない」と、原子力安全委員会を批判しています。

「やっと繋がれた」保護者たち

4月21日の対文科省交渉は進展がなく、福島に帰って「放射能から子どもたちを守る福島ネットワーク」の準備を始めました。25日の準備会には、100人以上の人が集まり、しかも新しい人たちばかりでした。

「心配しているのは自分だけなのか?」と不安に思っていた人たちが、復興会議の「進言書」をインターネットで見て、「同じ考えの人と出会える」という思いで集まってきたのでした。

東北の人は、「物言わぬ農民」と言われ、静かな人が多いのですが、参加者たちは、凄い勢いで喋り始めました。私の友人は、「大阪人みたいだ」と評しました。

4つの分科会で議論が始まり、@測定・除染、A他地域への避難・保養・学童疎開、B放射能学習、C留まらざるをえない人の防護、という4つのプロジェクトテーマを決定。5月1日の発足集会(参加者=250人)に引き継がれ、活動が始まりました。

(以下見出しのみ.全文は1421号を入手ください。購読申込・問合せはこちらまで。)

「高い数値が出たら園児が来なくなる」

 避難したくても逃げられない 人々のための防御策

 地元紙報道で変わった流れ

 除染をしてもどうにもならない

測定・除染活動でわかったのは、「福島はもう、除染で住める土地ではなくなった」ということです。

 子どもたちには 保養と疎開を

「命が大事」を基本に「考え方の違い」を受け入れる

人生、「ゆっくりと少し不便」がいい

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