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▲小林圭二さん(インタビューは3月15日)
更新日:2011/04/21(木)

[社会] 原発から即時撤退せよ

政府はすぐにも撤退の実施計画作成を!!

事故を起こした福島第1原発は、22日までに1〜6号機すべて外部電源に接続された。当面は冷却システムの復旧が焦点となっているが、プルトニウムを燃やす3号機では、断続的に煙が上がっており、順調に推移したとしても、瀬戸際の危険な状態は当分続く。

炉心溶融から爆発へという最悪のシナリオは回避されそうだが、原発事故についての東京電力・政府の発表は断片的で、露骨に楽観論に傾いているだけに事故の実体は、伝わってこない。

前号の小出裕章さんに続いて、今号は、小林圭二さんに事故実体についての評価を聞いた。小林さんは、既にスリーマイル島事故のレベルを超えているという評価のもと、原発撤退計画を作成すべきだと提言する。

放射能汚染の実態も、次第に明らかになりつつある。原発撤退の決断は、今をおいて、他にない。(文責・編集部)

手さぐりの対応 手づまりの東京電力

── 政府・東京電力の発表は信用できるのか?

小林…問題なのは、発表が事実かどうかを検証する術がないことです。誰も現場に近づけないために、記者が「裏を取る」こともできず、東電側からの一方的な情報から判断するしかなくなっています。

事実が検証できない中で、東電側は都合の良い情報しか出していない、と私は感じます。根拠のない楽観論を振りまき、事態がどうしようもなくなってから、事後的に断片的な事実を発表しています。

例えば12日の朝に、いきなり放射性物質放出を意味する格納容器内蒸気放出が報道された時も、途中経過が発表されないので、聞かされる私たちはどうしてそうなったのか、東電の状況判断や根拠を想像するしかなかったのです。

3号機の建屋が爆発(14日)してからは、発表の仕方が多少ましになりましたが、それでも、発表と起こった事実との食い違いが頻繁に起こりました。

3号機の建屋が爆発(14日)してからは、発表の仕方が多少マシになりましたが、それでも起こった事実と発表が全く違っていたということが頻繁に起こりました。

こうした情報混乱に輪をかけているのが、テレビなどに出ている「専門家」と呼ばれる大学教授たちです。彼らも本当のことを言っていません。「軽微です」「心配ありません」と、根拠のない楽観論を振りまき、「あわてないでください」などと、行政の太鼓持ちのような「解説」をくり返しています。起こっていることを軽微に見せようという姿勢が、露骨に見えます。

── そもそも東電は、現場で起こっている事態を把握できているのか?

小林…できていた時期もあったでしょうが、今は、原子炉がどうなっているのかよくわかっていないでしょう。

それには理由があります。停電が続いているので、温度計などの計器が、作動していないようです。暗闇の中、計器類も動いてない中で対策を打っているのですから、たいへんな作業です。

現場は、爆発・火災などの起こった事態を見ながら判断し、原因を探り、対応しているというのが実態でしょう。

現状はスリーマイル以上

小林…東電と政府が、福島第1原発の急激に悪化する事態に危機感を抱いたのは、避難区域を10キロ圏以内に拡大する前あたりでしょう。避難区域を設定したのは、炉心が溶け始めているという判断があったはずです。中央制御室の放射線量が通常の1000倍になり、正門付近も非常に高くなりました。

今回の事故対策のポイントは、@動力源と、A水源の確保です。@動力源は、停電で外部電源がなくなり、非常用発電機も全て動かず、2号機はかろうじてタービンを動力とするポンプが動いていましたが、やがて停止しました。外部から電源車をもってきましたが、所内の接続ポイントが水没していたために、未だにポンプの動力源は確保されていません。

A水源は使えなくなったようですが、理由は発表されていません。そこで消防車が動員されたのですが、これ自体が想定外のことです。電力会社は、これまで「幾重にも構築された安全システムが破られることはあり得ない」と言い続けてきました。中でも、原子炉でどんな事故が起ころうとも、最後の砦として格納容器が全てを閉じ込めてくれるという「格納容器」信仰主義がありました。しかし今回、信仰の対象であった格納容器が神様ではなかったということが明らかになりました。

原発安全対策の基本思想は、@「止める」、A「冷やす」、B「閉じ込める」ですが、「冷やす」に失敗した上、最後の砦が壊れたということです。原発の安全対策設計思想が、根本から崩壊しました。

── 現状をどのように評価しているのか

小林…個々の技術的な違いを取捨して事故総体で観ると、15日段階で、スリーマイル島レベルを越えたと言えるでしょう。

4号機使用済み燃料プール付近の爆発後に検出された毎時400ミリシーベルトという放射線量は、ただちに人体を危険に陥れるレベルですから、作業員が全く現場に近づけないのです。

4号機の燃料プールに保管されている燃料も放置するしかないので、水が蒸発して燃料の温度が上がり、溶け始めます。すると放射線量は激増しますから、空から水を撒くことくらいしか、できることはなくなります。破局的事態に進んでいます。

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