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更新日:2011/04/01(金)

[コラム] ラテン・アメリカと21世紀社会主義 社会主義が必要な唯一の理由
──2010年7・8月号 『マンスリー・レビュー』 マルタ・ハルネッカー(チリの社会学者、ジャーナリスト、活動家女性) /翻訳・脇浜義明

なぜ今さら社会主義なのか?

政権の評価は、進歩速度でなく、その方向性を重視すべきだ、と述べた。この進行方向、つまり目標を、いくつかの「左派」政権は「21世紀社会主義」と表現している。

なぜ今さら社会主義なのか?という疑問があるかもしれない。ソ連型社会主義の否定面として、国家主義、国家資本主義、絶対主義、官僚主義的中央計画、相違軽視と全面的均質化を強要する集団主義、生産第一主義(自然保護を無視する生産力重視)、独善主義、無神論、過渡期指導をする唯一の党の絶対化、等々が語られた。確かに、それらの議論や指摘は間違っていない。社会主義が必要な理由は、一つである。

ここで、2010年2月にボリビアのガルシア副大統領が国民に語った言葉を引用する。彼は、「コミュニティの社会主義」と名づけたものを、次のように語っている。

「このテーマ(社会主義)を語る理由は、ただ一つだけである。それは、今日我々が住んでいる社会が不正だらけ、不平等がいっぱいの社会であるからである…我々が生活する資本主義社会では…毎日千百万人の子供が、栄養失調や、金がないために病院へ行けないために死んでいる。…しかもこの社会は、永遠に危機、失業と倒産の危機を繰り返す。あり余るほどの富は、ごく少数の人の所有で、他方で富がないばかりか、世の中にあるものに近づくことすらできない人々が多数いる」。

「これが問題なのだ。今の社会があまりにも多くの矛盾を生み出している。知識、科学、富を作り出す一方で、同時に圧倒的な貧困、貧困者への無関心をも作り出す。人間破壊だけでは物足りず、自然をもどんどん破壊しているのだ」。

よく知られているように、最初チャベスは、資本主義をそのままにして社会を変えようと思った。「第三の道」である。しかし、それは不可能であることを、すぐに理解した。

ベネズエラのオリガーキ(米国と結びついた旧支配層)は、2001年発布の社会改革法が少しでも自分たちに不利益をもたらせば、クーデターを起こす構えだった。クーデター計画が失敗すると、今度は、真っ先に原油産業を妨害して、国家を機能不全に陥らせようとした。チャベスは、こういう出来事や資本家たちのサボタージュを経験したので、資本主義とは異なる社会、即ち彼が「21世紀社会主義」と呼ぶものへ向かうことを決心した。

チリ革命の敗北から何を学ぶのか?

さらに、2005年2月の第4回社会債務サミット(米州社会憲章検討サミット)(訳注:ネオ・リベラル・グローバリゼーションに対抗して、南米大陸の諸国民が人間らしく生きる社会的保障を確立することを目的とするサミット)で、チャベスは、「社会主義以外に資本主義のオールタナティブはない」と発言し、「しかしその社会主義は、我々が見てきた社会主義とは異なった社会主義でなければならない」と付言した。これが、公式の場で「21世紀社会主義」という言葉が使われた最初であった。

世界最初の平和的な社会主義移行は、1970年初期にチリの大統領選でサルバドール・アジェンデが幅広い左派が結集した人民連合の統一候補として勝利したことから始まったことを、我々は忘れてはならない。アジェンデ政権は3年後、軍事クーデターで倒された。現世代の人々は、この敗北から学ばなければならない。

社会主義目標を平和的に実現したいならば、あの時点まで世界で適用されていた社会主義プロジェクトを再検討し、チリの現実に合うような独自のプロジェクトを開発し、それを建設する平和的方法を見出すことだ。

アジェンデも、「赤ワインとパイを備えた社会主義」という言葉を造語したとき、きっとそのことを感じていたに違いない。この言葉は、人民民族主義的伝統に基づく民主主義的社会主義建設という発想を表している。

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