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更新日:2011/01/05(水)

[コラム] 吉岡 多佳子/生活保護受給高齢者の識字率と労災

高齢者の労災手続きに支援を

 人口の6割くらいしか、実は文字が読めないのではないか。だとしたら、これまですべての出版物や政府の通知や教育などは、空回りとなる。「伝える」は、必ずしも「伝わる」とイコールだとは限らない。本当に相手に伝わっているのかを確かめない限り、「伝わる」ことにかけては、ことごとく失敗していたにちがいない。わたしは最近、痛切にそのように感じる。

わたしはいま、生活保護を受けている高齢者、約300人に接することを業務としている非正規労働者である。

15歳以上の人口に対する、日常生活の簡単な内容についての読み書きができる人口の割合をしめす「識字率」というものがある。識字率は、初等教育の就学率で数えるので、ほんとうに読み書きできる人がどれだけいるのか、その実態は実は把握されてはいない。にもかかわらず、日本の識字率はほぼ100%だという。これは、大嘘である。わたしの実感としては、6割くらいの人しか読み書きできていないように思う。

先日、総務省が実施した「国勢調査」も、字が小さくて読みづらいうえに、ルビもない不親切なものだった。なので、高齢者の中には、ヘルパーさんや手話通訳者や家族などに、代読や代筆を頼む人もいたが、そういう手配ができる人はごく稀だった。ほとんどの人たちが、放置していたか、ゴミ箱へ捨てていた。手元に届いた書類には、何が書いてあるのか読めないので、読んでくれる人がいないと、回答できない。

わたしの知る限り、仕事で接する高齢者の大半が小卒か中卒である。例えば、小学校低学年ごろから働かざるを得ず、学校に通っていないまま小学校を卒業した、というケースもよくある。新聞や届いた書類のうち、漢字は飛ばし読みして、ひらがなやカタカナだけを拾い読みしているか、もしくはすべて読めない。

様々な事情により読み書きできない人も、この社会を構成する一員である。しかし、「日本に住んでいるすべての人、及び世帯を対象とする国の最も重要な統計調査」で、「国内の人口や世帯の実態を明らかにする」目的を持つ国勢調査は、回答者が読み書きおよび応答できることを勝手に想定している段階で、この社会の構成員として見なしてはいない。

生活保護を受給している高齢者の中には、肉体労働で首や腰や肺などを傷めて働けなくなった人が大勢いる。話を聴けば、労働災害(労災)だったのに労災申請していないか、申請しても認定されていない。そんな人のあまりの多さが気になっている。これまで現場を転々としてきた人が多いので、手続きが大変なのである。

生活保護法第4条「保護の補足性」の原理の第1項に「…利用しうる資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件」とあることから、福祉事務所側の悪用が問題にされてきた。ただ、その第2項には、ほかの法律や制度によって扶助の可能性があれば、それを活用し、優先するという「他法他施策優先の原理」もある。転職回数が多いなどで年金受給権を行使しにくい高齢者のために、代理で年金裁定請求してくれる支援員を配置している自治体もある。労災にも同様の支援が必要不可欠だ。

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