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更新日:2011/01/01(土)

[政治] 北朝鮮脅威論は虚構 朝鮮半島危機の原因はアメリカ
──平和・統一研究所・東国大社会学科教授 カン・ジョング

朝鮮半島の平和・統一と東北アジアの平和に向けた歴史展望と課題

朝鮮民主主義人民共和国が延坪島を砲撃し、「戦争危機が高まった」とされている。今年3月、同海域で韓国の哨戒艦「天安」が沈没。これ以降、米韓合同演習「不屈の意志」・「2010護国」が38度線、NLL(北方限界線)一帯で繰り広げられた。これを領海内での砲撃とみなした朝鮮人民軍司令部は23日、電話通信文で射撃訓練の中止を求めたが無視されたので、23日午後、2次に渡る砲撃を加え、被害者を出す惨事となった。

延坪島は、北朝鮮にとっては喉元に刺さった小骨のような存在だ。53年にアメリカが一方的に設定したNLLを北朝鮮は認めず、南北海軍の武力衝突が2度起きていた。

今回発端となった米韓軍事演習は、日本で例えるなら大阪湾か駿河湾で実弾軍事訓練が行われたようなものである。北朝鮮の砲撃後も米韓は、原子力空母を動員した大規模軍事演習を行い、危機を煽る。

朝鮮戦争休戦以降、幾度となく起こった軍事的緊張は、そのほとんどが米国による挑発であったとの評論を掲載する。「北朝鮮悪玉」論を再考する一助になるだろう。

東アジアと朝鮮半島の平和は、休戦中の朝鮮戦争を法的政治的に終結させ、和解・協力によって朝鮮半島を東アジア共同の平和と繁栄の地とする方向しかあり得ない。(編集部)

戦争危機の実情─冷戦期

朝鮮半島は、戦争と核の危機が連続してきた。哨戒艦「天安」沈没事故の真実も究明されていないにもかかわらず、李明博政権はこれを北の所業と断定し、米・日も同調し、原子力空母ジョージ・ワシントンまで動員して戦争ごっこを繰り広げつつ、朝鮮半島と東北アジアを戦争危機に陥れている。

庚戌国恥(韓国併合)100年、アメリカ主導の分断65年、朝鮮戦争 60年、南北共同宣言10年を迎え、朝鮮半島の戦争と核危機の実情を点検する。

我々は、朝鮮半島の戦争危機という言葉が出れば、反射的に「北朝鮮が何かやらかした」と断定し、北朝鮮責任論を駆使してきた。しかし、これは妄信に過ぎず、客観的事実に基づく科学的分析の結果ではない。

まず、冷戦期にあたる1953年から1989年までを検討し、次に、脱冷戦期にあたる1990年から今日までを概括する。

最初の戦争危機は、62年のキューバ・ミサイル危機により触発された。米・ケネディー大統領がキューバ封鎖命令を下したことで、一触即発の事態を迎えた。もしこれが戦争に発展すれば、朝鮮半島も核戦争の戦場になっただろう。韓国には1000基前後の核兵器が北朝鮮、ソ連、中国に狙いを定めて配置され、米軍が駐屯していたからである。

2つ目は、1968年1月のアメリカの偵察船プエブロ号拿捕事件である。北朝鮮を偵察していた情報収集艦プエブロ号が、元山湾付近の北朝鮮領海を侵犯するや、北朝鮮がこれを拿捕したことで、戦争危機が高まった。米国情報収集艦が拿捕されたのは、米海軍史上初で、アメリカはこれを「戦争行為」と規定。エンタープライズを元山沿海に配置し、航空母艦2隻、沖縄の空軍戦闘機360機余を朝鮮半島周辺に前進配置した。結局アメリカは、年末に北朝鮮に公式謝罪し、乗員の返還を受けた。

3つ目は、1969年、アメリカのEC121偵察機撃墜事件である。偵察機が北朝鮮領空を侵犯するや、北朝鮮の戦闘機がこれを撃墜、搭乗員全員が死亡した事件だ。国際法で許された北朝鮮の主権行為に対し、アメリカはさらに恫喝を加え、戦争危機にまで上りつめた。

4つ目は、いわゆる「板門店ポプラ事件」(1976年8月)である。グァム島で核兵器を搭載したB-52爆撃機が、非武装地帯に向かって飛行、最後の瞬間に機首を返すという、戦争一歩手前の挑発を行った。同時に航空母艦ミッドウェイの発進、F-111戦闘機とB-52爆撃機の飛行、F-4飛行大隊、沖縄の米海兵隊1800人など地上軍1万2000の出動待機など、動員可能なすべての方法を用いた挑発であった。幸い北の人民武力部長が遺憾の意を表明して、危機は解消された。

ポスト冷戦期

このように冷戦期の戦争危機は4度存在したが、原因提供と主役はアメリカであった。脱冷戦期の戦争危機も、変わるところがない。

1990年以降、戦争危機は、@1991〜92年の120日戦闘シナリオなどの第2の朝鮮戦争危機、A1994年6月の寧辺核危機、Bアメリカの人工衛星写真により、北が核兵器を開発していると断定、模擬核爆弾BDU-38で核戦争の実戦演習まで繰り広げた1998〜99年のクムチャンニ核危機、C休戦以降最初の南北正規軍による武力衝突といわれる1999年の第1次西海交戦と、2002年の第2次西海交戦、D韓国政府に通報もせず対北先制攻撃を秘密裏に行うことを意図した、2002年の作戦計画5027-02と、コンプラン8022という作戦計画を足がかりとした2003年9〜12月の戦争危機、E2005年4〜6月の戦争危機、などである。

この中で、2度の西海交戦を除いた残りの5度の戦争危機は、すべてアメリカが意図的、計画的に作り出したものだ。冷戦時代の4度の戦争危機も同様で、停戦協定以降に発生した朝鮮半島の戦争危機のうち9回はアメリカが主導し、南や北はそれぞれ1度づつ主導した算段になる。

こうしてみると、朝鮮半島の脅威の実体はアメリカであるということが確認でき、次のような結論に至る。

第1に、朝鮮半島は駐韓米軍のおかげで戦争の危機を回避しているという一般的な理解は間違いで、アメリカのせいで戦争危機に直面してきており、現在も進行中であるということ。

第2に、北朝鮮戦争脅威論は虚構であり、具体的な経験的事実により確認できる科学的真実はアメリカ戦争脅威論であるということ。

第3に、平和・生命権のためには、駐韓米軍を撤退させ、韓米軍事同盟を解体し、アメリカの戦争の足場をこの地から除去せねばならない。

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