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▲大学の正門 大学周辺の道路にも屋台がたくさん並ぶ
更新日:2010/12/30(木)

[海外] 中国/エリート学生の厳しい就職事情

出席率低い大学4年生

江西省南昌市の大学で9月から、1〜4年までの全学年に日本語を教えている。他大学の日本語教師に聞くと、1学年だけを教えることが多いようだが、江西財経大学は、日本語学科クラスが各学年1クラスしかないため全学年を担当することになった。

私も、同じことを何回も教えるより、内容にバラエティがある方が楽しめる。しかし、4年生の「ビジネス日本語」だけは別だ。

9月初め、与えられたテキストをパラパラめくって、愕然とした。「即売」「資金繰り」くらいなら経済に疎い私でも何とかなる。M/T、T/T、D/D…。何だこりゃ?「逆為替」、「荷為替手形取り立て」…。まだまだあるが、きりがない。トホホ感に浸っている次第だが、この大学は名前に「財政経済」がつくので、これ位の内容は常識なのだ。

この名前のために、当大学には優秀な成績の子どもたちが各地から入学してくるそうだ。親たちは、半分以上が農業を営んでいる。近年、上海などのリッチな暮らしが日本でも紹介されているが、中国国内における農家収入は圧倒的に少ない。親たちは、質素で苦しい生活からお金を絞り出して、子どもを大学に入れる。将来、子どもが安定した仕事につけば、子ども世代は苦労から解放される。そんな願いが、子どもを就職に有利な「財政経済」の大学に入れさせるのだろう。

一方、当の学生たちは、そんな親の願いを背負いつつも、学生生活を楽しんでいる。ほとんどの学生は、パソコンを持っている。服装もおしゃれだ。その中でも、最も洗練された衣装に身を包んでいるのが4年生だ。「社会に目が向くようになったんだなぁ」と思っていたら、同僚の老師がやや苦々しげに、「あの学年は、1年の初めからああなんです。クラスの雰囲気が勉強にそぐわないのは唯一、あの学年だけです」と言う。

確かに、クラスの人数が30〜40人いる1〜3年は、毎回ほぼ全員が出席するのに、4年生だけは違う。まず成員が15人しかいない。9月の初めの授業は11人が出席したが、その後着実に減り続け、つい先日は、たった1人だった。私と同年代の教室管理人の女性が教室を覗いて、あまりの少なさに呆れかえり、「たるんどる!」みたいなことをまくし立てたほどだ。

図書館にこもる学生たち

いったい4年生は、どこで何をしているのか?

彼らは、電話や書面で欠席届をまめに出す。「先生、誠に申し訳ありません。今日は就職説明会があるので、先生の楽しい授業を受けることができません。先生の人生に幸多かれとお祈りしております」などと、お世辞や祝福まで書いた欠席届を見ると、思わず吹き出してしまう。どこでこんな言葉を覚えたんだ!?

実は、笑い事ではない。彼女ら・彼らは今必死なのだ。クラスの3分の1は、大学院や公務員の試験対策で朝起きて、キャンパスの学食で朝食を取り、すぐに図書館に籠もって1日中勉強している。そこから私に作文のメールを送ってくる子もいる。私は添削して送り返す。

図書館は、学生たちが席を確保するのも大変なほどの盛況ぶりだ。夜9時過ぎにぞろぞろとキャンパス内の寮に帰る日が続いている。ありがたいことに、数年前に、図書館や教室にはエアコンが設置された。それまでは、寒さに震えながら、メチャクチャに着込んで勉強していたそうだ。エアコンがある大学は、南昌市ではこの大学だけだという。「この大学で本当にヨカッタ!」と嬉しい私である。

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