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▲ケララ州の位置
更新日:2010/09/06(月)

[海外] インド/「持続的な社会」を可能としたインド・ケララ州
──大阪大学コミュニケーション・デザイン・センター特任助教 春日 匠

つつましくも豊かな社会

私たちの生活が地球環境に大きな負荷を与えていることは、残念ながら事実のようであり、特に気候変動などのいくつかの問題では、限界に到達している。加えて、中国やインドをはじめとした第三世界の国々でも、我々と同じように車を使い、電気を消費する生活を営む人々の数は増え続けている。

もちろん、我々にそれをやめさせる権利はないであろう。万人にプラズマテレビがある生活を認める必要はないかもしれないが、少なくとも十分な食料や清潔な水、夜を安心して過ごせる住居、そして病気のさいに医者にかかる権利などは、誰にでも与えられるべきだという点に、異論はないであろう。

しかし残念なことに、いくつかの例外を除いて、経済的な発達とこれら基本的な社会サービスの提供レベル、そしてその生活の環境負荷は、ある程度の相関が見られる。では、我々はより多くの人々の人権を守ろうと思えば、経済を発達させ、地球環境が脅かされるのを甘受せざるを得ないのだろうか?(その場合も、地球環境が破壊されてしまっては人権どころではないのであるが…)

ここでは、経済発達や環境負荷なしに高い生活レベルを達成している少数の例外について考えてみる必要があるだろう。それらは、「単なる例外」にすぎないのか、あるいは人類の生活と地球環境のバランスをとる有効な方法がそこに隠されているのか?

そういった例外の中でもっとも有名であり、国連などが長く注目してきたのが、南インドにあるケララ州である。一人あたりGDPといった経済指標を見れば、ケララは長年、インドの中でも低開発といってよい部類に入っていた(同時に、彼らの生活が環境に与える影響は、相対的には小さなものである)。

しかしその一方で、乳児死亡率、平均余命、出生率などは先進国並みの数値を記録しており、開発研究者の間では「社会開発の奇跡」として知られていた。

実際、すこし町を歩いただけでも、インドの他の都市と違って物乞いをする人がほとんど見られず、人々の生活レベルも高い。

この背景にはいくつかの事情があると考えられているが、一つには州政府が徹底した分権と住民の政治参加を求めたことだ。また、住民もそれによく応えたということがあげられる。

住民の政治参加には、一方でそれなりの知識が必要とされるが、科学者、ジャーナリスト、初等中等教育の教師などを中心に組織されたケララ民衆科学協会(KSSP)の地道な活動が住民の知識向上を可能にした点も、重要である。商業の中心都市であるコチを含むエルナクラム県は、KSSPの活動の結果、インドで初めて識字率100%を達成した県となった。

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