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▲老婆のパペットが「禿げ上がった」瞬間!(四条河原町)
更新日:2010/06/14(月)

[反貧困] 2010年・フリーターメーデー特集 闘うのではなく逃げてしまおう!

京都・「逃散や不服従」メーデー

むかし農民は、厳しい年貢の取り立てにガマンできなくなったとき、「逃散(ちょうさん)」と言って、みんなでよそに逃亡したり、家にこもって働かなかったりして抵抗したらしい。(呼びかけ文より)

京都では、「勝ち組のつくったシステムから逃げ出そう」と、逃散を呼びかけるメーデーが行われた。また、4月24日(土)には、プレ企画としてジャイアント・パペット作りも行なわれた。(編集部)

地上3mで踊る巨大老婆と、アリの群れ

メーデーのデモに向け、4月24日(土)に京大文学部の中庭で、組合員や研究者や学生や出版業界の人など約15名が集まり、「満腔の思いを託したパペットを、公共空間に乱立させるために!」というタイトルでジャイアント・パペット(巨大な人形)作りをおこなった。

会議段階から呼びかけ文作成〜製作〜デモ当日まで、ごく限られた短い時間との闘いだった。タッカーや布テープなどの道具は事前に購入したが、材料は寄せ集めのものばかりで、発泡スチロールやダンボールや竹などの廃材を手分けして収集した。

全体でつくったパペットには、象徴としての大きなパペットと、アレゴリカルなものの2種類を想定して進行。前者では、「何か」(これについては後述)を喪失した老婆の生-性-死をイメージし即興で造形し、後者は各自思い思いのものを作っていった。

制作工程は、ダンボールに発泡スチロールを固定して土台を作り、新聞紙で眼窩・頬骨・鼻骨・顎など骨格の凹凸を出す。次に水で溶いた糊のバケツに、粘土代わりに小さく千切った古新聞を次々浸しては、眼球・唇などの表情を繊細に肉付けして形づくっていく。自然乾燥する間に、竹と角棒を十字架状に組み、バンセンで締めて胴体を作り、そこに纏わせる衣装としては、水性ペンキでイタリアンカラーに絞り染めし乾燥させた白シーツ。首には西陣織の失敗反物スカーフとドラァグクイーンのようなチープなゴールドで飾り、発泡スチロールから切り出した天使の羽根を針金留め。

来客への対応と陽だまりと時計を睨みつつ、同時並行でいくつも共同作業するそのさまは、アレゴリカルな個人パペットづくりのほうに没入したいのに、まるでその暇を与えてはくれないという、どこか時間に追われた料理番組のようでもあった。

先述した老婆が喪失した「何か」とは何か? 

すでに「わたしたち」は、それぞれの持ち場で日々闘っている。何らかの「しこり」を各々抱え、まるで地を這うアリのように。だが、しかし、それをさほど目配り広く交わす言葉や関係すら、お互いに持ち合わせてはいない。

そんな「わたしたちの群れ」そのものに対するカタルシス(浄化・排泄)を、不意にぎこちなくバサバサと飛来してきては、地上3bくらいの空中にとどまり、そこからジーッと見下ろしている巨きな老婆の決して開かない眼球に込めた。その瞼が開かないのは、私たちが通常、自らが社会的に置かれた位置を、俯瞰しつつ状況を相対化して各自それぞれが見ることが、ないからでもある。そのことも併せて老婆は悼む。

しかしながら、老婆は悼んでもばかりいられなかった。「天使」として安全な位置に鎮座し(ひきこもり)、いわば「高みの見物」してばかりもいられなかったのである。

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