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▲バイデン米副大統領と握手するファイヤド首相

▲分離壁に描かれた夢
更新日:2010/05/28(金)

[海外] パレスチナ/パレスチナ・ファイヤド首相のアメリカ頼み戦略
──4月10日 ウリ・アヴネリ

イスラエルの譲歩を前提にした和平案

ファイヤド・パレスチナ自治政府首相の戦略は、たった一つだ。そして、それだけにしがみついている。それは、ファイヤド自身にとっても、パレスチナ社会にとっても、危険な賭けである。

彼は、パレスチナの民族的目的は、「米国との協力による非暴力的手段で達成できる」としている。彼の計画は、「パレスチナ民族機構」を作り、活発な経済基盤を作り、2011年末までにパレスチナ建国宣言をする、というものだ。

これは、ダヴィド・ベングリオン指導下のシオニズム運動の戦略を思い出させるもので、実際ファイヤドも、「既成事実を作る」という、シオニストがよく使った言葉を使っている。

彼の計画は、米国がパレスチナ国を承認し、イスラエルに前々から言われてきた和平条件(2国並存。手直し程度の領土交換を含むが、1967年当時の国境の復活、東エルサレムをパレスチナ国家の首都とすること、領土交換に含まれていない入植地すべての解体、象徴的な数の難民のイスラエル領またはパレスチナ領への帰還)を呑ませるだろう、という前提に基づいている。分かり易い戦略だが、問題はたくさんある。

問題@=パレスチナは本当に米国を信頼してよいのか?

内政問題で勝利したオバマは、自信を得て、前記の条件を入れた和平案を両当事者に呑ませるつもりのようである。和平案は米の国益に沿った戦略で、米軍指導部も支持している、と最近明らかにした。しかし、まだ決定的な「バトル」は始まっていない。米政界の強力な二つのロビー、《軍事ロビー》対《親イスラエル・ロビー》、《ホワイトハウス》対《議会》のバトルである。ファイヤドの賭けは、オバマ大統領がデービッド・ペトレイアス陸軍大将の支援を得て、このバトルに勝つことを前提としている。

問題A=占領下で、未来の国家になる「パレスチナ機構」を作ることは可能か?

今のところ順調に見える。西岸地区は少し活況を見せている。ただし、それは一部の階層だけの話だ。ネタニヤフ政権が、「経済和平」政策でそれを支えているからだ。

しかし、この基盤は非常に脆い。占領当局は、その気になればすべてを一撃で崩すことができる。オスロー合意(1993年)以降の和平雰囲気の中でパレスチナが作り上げてきたものは、2002年5月の「防衛の壁作戦」で、あっという間にすべて破壊されてしまった。パレスチナ自治政府本部も官公庁も、みんな無残に破壊された。今度もイスラエル政府がその気になれば、ファイヤドの官僚機構も西岸地区の企業も、一晩で消えてしまうだろう。

ファイヤドは、米の安全ネットを当てにしている。確かに、2002年にシャロンがブッシュ政権のもとでやったことを、2010年、ネタニヤフがオバマ政権のもとでやるとは考えにくい。以前とちがって、「デイトンの軍隊」がパレスチナに存在するからだ。

米軍のケイス・デイトン中将が、パレスチナ自治政府の保安部隊を訓練している。もうそれは、「保 安部隊」というより、「正規軍」のようなものになっている(土地の日のデモの時、ヘルメットとカーキー色の軍服姿のパレスチナ自治政府保安部隊が丘の上に配置されていた。イスラエル軍は、下の方に配置されていた。そこは、オスロー合意でイスラエル軍が統治すると決められたC地区であった。どちらも米軍用車両を使っていた)。そうはいっても、ファイヤドが、「自分の戦略と、占領協力との違いはほとんどないので、占領抵抗は不可能だ」と思っているのは確かだ。

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