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更新日:2010/03/22(月)

[海外] パレスチナ/ガザの息の根を止める「鉄の壁」 イスラエルに協力するエジプトのジレンマ
──1月2日 ウリ・アヴネリ(イスラエルの平和団体「グーシュ・シャローム」創始者)

ガザ封鎖「完成」させたエジプト

エジプトで、何かがおかしい。

1年前のイスラエルのガザ攻撃(「鉛の棺作戦」)の追悼・抗議集会に参加するためにガザに入ろうと、約1400人の人々が世界中からエジプトに集まった。

ところがエジプト政府は、ガザへ入ることを禁止したのだ。活動家を乗せたバスは、カイロ郊外で止められ、引き返すよう命じられた。官憲の目を逃れて乗り合いバスでシナイ半島へ入った人も、結局、検問に合い、バスを下ろされた。

活動家たちは、カイロの自国領事館へ行き、エジプト政府の不当な仕打ちを訴えた。

仏大使館前の道路には、活動家のテントが張られ、それをエジプト警官隊が包囲した。米大使館前でも同じような光景があった。70歳を超えた人が抗議のハンストに突入。あちこちでデモ隊と、それを放水で散らそうとする機動隊が衝突。タヒリール(解放)広場では、警官隊がデモ隊に激しい暴力を振るった。

この間、エジプト大統領宮殿ではネタニヤフ・イスラエル首相が歓待を受け、和平への貢献、とりわけ彼の「入植凍結宣言」という、いかさまショーの賛美儀式が進行していた。

※訳注…「凍結」には、東エルサレム及びその周辺地区 ― 西岸地区の22% ― や、重点的入植計画は含まれない。また、すでに議会の承認を得ている3000棟の団地や、シナゴーグ(ユダヤ教の会堂)、幼稚園などの公共建造物の建設も含まれない。要するに、ネタニヤフの「凍結宣言」が実施されても、過去4年間、入植地が拡大した割合には、何ら変化がない。

ムバラク大統領が、ネタニヤフ首相を首都カイロへ招待するのは、エジプトが如何にイスラエルに接近したがっているかを表すものである。

他にも、130年前にモロッコから聖地へ向かう途中、エジプトの町ダマンフールで死去したラビ(ユダヤ教の指導者・学者)のヤアコフ・アブ=ハツェイラの墓へ、数百人のイスラエル人を、特別待遇として、墓参に招待した。

ガザ支援を妨害し、ダマンフールへイスラエル人を招待するという行為には、エジプトの意図が象徴されている。

エジプトは、ガザ封鎖にも参加している。ガザ封鎖は、「鉛の棺」作戦より前から行われていて、ガザを「地上最大の牢獄」にした。

米上院議員ジョン・ケリーは、ガザにパスタまで持ち込むことができないのを知って驚いた。建築材から学童のノートまで、あらゆるものが封鎖物資のリストに入っている。よほどの人道的緊急事態以外(その場合でも不許可になることが多い)は、ガザからイスラエル・ヨルダン川西岸地区への通行はできない。

イスラエルは、ガザの三方―北と東は陸軍、西の海上は海軍―しか封鎖できない。残る南は、エジプト国境である。だから、封鎖はエジプトの協力があって初めて「完成」するのだ。

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