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更新日:2009/06/09(火)

[コラム] 薄型テレビ・ハイブリッド車は環境にやさしいか
──大今歩

追加経済対策に15兆円

4月10日、政府は総額15兆円を投入する追加経済対策を発表した。マスコミは整備新幹線など従来型の公共事業をバラまきと批判しながらも、「@省エネ家電を購入すれば、5〜10%のポイント還元、Aエコカーに買い換えれば最大25万円の助成」については環境面で効果が大きい上、景気対策に役立つとして誉めちぎっている。しかし、環境にやさしいとは本当なのか。

地上デジタル化反対

まず、省エネ家電として助成の対象となっている薄型テレビ(地上デジタル放送対応テレビ)についてだが、2011年に地上波を打ち切って地上デシタル化する計画自体に大いに疑問がある。メーカーは「デジタル化によって映像が美しくなる」と宣伝しているが、私は退屈な番組やコマーシャルの映像を美しく見たいとは全く思わない。それでもデジタル放送を見たい人は買い替えれば良いと思うが、地上波を打ち切って、現在のテレビを視聴できなくするのは暴挙である。

このような暴挙の背景には、テレビに関わる政府・官僚・財界(家電メーカーなど)・マスコミの醜悪なゆ着がある。特にテレビ局と新聞社が同一資本であるため、批判は抹殺されている。

買い替えによって多少は消費電力を節約できるかもしれないが、新しく薄型テレビを生産するためには莫大なエネルギーが浪費されるうえ、十分に使用できる中古テレビが廃棄されるため、ゴミが増える。地デジ化強行をやめ、今視聴しているテレビを長く使用していく方が環境にやさしいことは火を見るより明らかである。

ハイブリッド車はエネルギー消費を減らさない

ハイブリッド車はたしかに燃費は良いが、一般車に比べて値段が高い。その理由は製造過程で石油や電力などのエネルギーを大量消費するためである。だから相当の距離を走行しない限り、製造過程を含めたエネルギー消費は低減しない。たとえば、トヨタの「プリウス」は「生産から廃棄までの全段階で排出するCO2や大気汚染物質の総量を旧型車に比べて低減しています」とうたっているが、ただし書きに「10万Km(10年) を走行した場合」とある(トヨタのカタログより)。10年で10万キロという通常は考えられない基準での評価でなければ、CO2や大気汚染物質の総量は減らないのである。一方、十分に走行できる自動車を廃棄すれば確実にゴミは増える。今乗っている車を大切に使い続けた方が環境にやさしいことは明らかである。

ツケは国民に回される

そのうえ、15兆円の財政支出はそのほとんどが赤字国債によってまかなわれる。そして、そのツケは国民に回される。事実、麻生首相は「消費税を含む税制の抜本改革は必ず実現する」と述べている(4月10日の記者会見)。

このように「省エネ家電」や「ハイブリッド車」購入促進は、環境にやさしいのではなく、家電や自動車メーカーの金もうけにやさしい政策でしかない。そのうえ国民を増税地獄に追いやる。世界同時不況の今こそ、大量生産・大量消費による右肩上がりの経済成長モデルを無前提に肯定することに疑いをもたねばならない。

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