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更新日:2009/02/07(土)

[コラム] 生田武志/「国家・資本・家族」からなる日本を再構成する時期だ

崩壊しつつある憲法25条と9条の縮図=釜ヶ崎・沖縄

今年の釜ヶ崎の越冬でも、やはり夜回りで死者と出会い、みんなショックを受けている。

「1月2日、昨日の夕方、萩ノ茶屋小学校の角で、野宿の仲間が亡くなった。警察が来ていた。救急車を呼んだのになかなか来なくて、労働者が警察に抗議していた。向かいに、毛布とリュックが置いてありました。パトロールで渡した毛布と、毛糸の帽子でした。Mさんがゆきあい、その人の顔をさわって、手を握りました。まだぬくもりがありました。残念です。パトロールのとき、みんなで黙とうをしました」(1月3日「日刊えっとう」)。

釜ヶ崎は日本社会が抱える労働、差別、貧困、医療、福祉の矛盾が集中する「日本の縮図」だとよく言われる。0・62平方キロの釜ヶ崎近辺では2000人近くが常に野宿を続けている。「日雇い労働」という不安定就労の問題、そして「手配師(派遣業)」によるピンハネなどのために常に貧困に直面し、何十年もの間、野宿、路上死、そして襲撃や排除に直面してきた。

そして、いまこの「日本の縮図」が、企業による労働の不安定化、行政の生活保障の削減という形で日本全国に拡大しつつある。年末から全国で社会問題となった「派遣切り」はその一つの象徴となった。

「アメリカモデル」にひた走る日本

しかし、「派遣切り」には実は沖縄の問題が横たわっている。個人加盟の労働組合「管理職ユニオン・東海」(愛知県)が、製造業を中心に広がっている派遣社員の雇い止め問題の相談を受けるため、昨年11月29・30日に行った「派遣切りホットライン」で、相談者の28%が沖縄県出身者だったという。

アメリカ兵による少女暴行をきっかけに基地問題で揺れた95年以降、沖縄の問題はあまり報道されないが、失業率が全国平均の2倍など、貧困問題でも沖縄は非常に厳しい状態にある。

こうした状況から、我々はどういう社会を求めることができるだろうか。

野宿者問題から言えば、労働の不安定化、行政の生活保障の削減という点で、日本は「アメリカモデル」へと走り続けている。アメリカでは、常時75万人がホームレス状態にある。

日本がそこまでの事態になっていないのは、一つには「家族の相互扶助」の機能がまだ強いからだ。その意味では、現状の日本はイタリア、ポルトガルなどの「南欧モデル」に近い(これは、特に沖縄について当てはまる)。例えば、フリーターがあれほど貧乏なのに野宿になっていないのは、その多くに家族の経済的援助(同居、仕送り)があるからだ。しかし、こうした「家族」の資源は間違いなく近い将来切れる。

日本は敗戦後、アメリカの圧倒的な影響のもとに社会を形成してきた。世界から見れば、日本はアメリカの「イエスパーソン」でしかなく、どんなに説教されても「国に誇り」などもちようがない。このアメリカの負の部分を日本で一身に担わされてきたのが、基地が県面積の11%に及ぶ沖縄だった。平和憲法の理念は本土(ヤマト)に、そして軍隊と基地は沖縄に。しかし、いま憲法すら、9条も25条もその理念ごと崩壊の瀬戸際にある。(フリーターズフリー/野宿者ネットワーク 生田武志)

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