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島袋純(45才)さん
 琉球大学政治学助教授。欧州統合と準連邦制への移行、自治州政府の確立を研究テーマとし、英国エジンバラ大留学時にスコットランド自治州成立を間近に観察。帰国後、沖縄の自治・独立に向けた研究を専門としている。
更新日:2006/10/31(火)

[政治] 道州制契機に自治・独立への志向強める沖縄
──島袋純(琉球大・沖縄自治研)

はじめに

9月25日から約1週間、沖縄を訪問した。11月に行われる沖縄知事選に向け野党統一候補なるか?という微妙な時期。知事選の構図と争点を取材した。また、新基地建設で揺れる名護市・辺野古では、非暴力抵抗運動の象徴的活動家である平良夏芽さんが被逮捕。不当弾圧への抗議活動が連日闘われ、名護署は勾留請求を断念するという、小さな勝利も取材できた。

沖縄報告の最初がなぜ沖縄自治論議なのか?それは、基地問題の解決には、沖縄の意志を蔑ろにしてきた日本政府からその権限を取り返す必要と、「基地のない沖縄」がいかに食っていくのか?という課題の解決は基地撤去運動にとっても必須テーマだからだ。

沖縄は、原発・基地・核のゴミを押しつけられる「地方」が、いかにそれを拒否し、真の自立と自治を獲得するのか?先行して議論と実験を行っている。(編集部・山田)

「自治の実質は、住民の政策立案・判断能力次第。専門家なしで意思決定できる能力育てたい」

「研究者が偉そうにしたり、役人やシンクタンクが原案を作り専門家を集めた審議会で政策を作っていくという従来のやり方を続けていたのでは世の中は変えられないだろう」。

島袋さんらは、徹底したオープンな議論とワークショップ形式による下からの積み上げで沖縄自治州基本法試案を作り上げた。役職は作らない、議事録をすべてホームページで公開し、途中参加の人もハンディーを負わない仕組みを用意した。

政治的枠組み・システムは、時代や政治環境次第で変わりうる。「『自治州』が実質を伴って機能するかは、住民の政策立案・判断能力次第。専門家がいなくても住民が意志決定できるという実例を示したかったし、それこそが沖縄に必要なんじゃないか?」―こうした考えのもとで、島袋さんは高校の同窓生や地域の友人・知人に参加を呼びかけた。口説き文句は「先生に偉そうにはさせないから」。  さらに昨年には、中学生を対象にした「小さな市民の大きな力/私たちのまちづくり」と題する副読本を編集・発行。地域に潜む隠れた問題を探り、みんなが納得する解決案をどうしたら見つけられるか?マニュフェストを生徒自身が作っていくというワークショップを手助けする。未来の有権者=中学生への働きかけも始めた。

自治州構想は、一九九九年にスコットランドからの一時帰国の際、沖縄国際大学での講演で提案した。新崎盛輝・宇井純教授ら大物知識人を前にしての講演。「緊張したが、手応えはあった」という。

女性・青年のリーダーシップで実現可能な高度な自治を

帰国後、琉球大学に復職して自治州研究を再開。研究と共に自治研の組織化をめざした。できれば女性のリーダーシップで。男はすぐに政治党派別に分かれる。女性は、ネットワーク作りが上手だし、政治的枠組みにとらわれないからだ。それに、「女性や青年といった社会的弱者から呼びかけていくのがもっとも説得力がある」。主な女性活動家たちに声をかけたが色好い返事がもらえなかった。

「言い出しっぺの君がやったらいいじゃないか」。新崎盛輝氏に背中を押されて、裏方をかってでて沖縄自治研究会が半年の準備をへてスタートした。もともと比較道州制が専門だったために、欧州の自治州制度を沖縄にも生かせないかという思いだったが、スコットランドの自治権獲得運動を身近に見るうちに次第に具体的になっていった。

「一番市民に近い市町村レベルでの自治能力を高めなければ、道州制は失敗する」―スコットランドの前例があったので、まず市町村での自治能力の向上をめざし、それを基本条例の試案という形でパンフレットにまとめた。

スコットランドでは、七九年にスコットランド議会設置運動が盛り上がり、国民投票まで上り詰めたが、基礎的自治体の賛成が得られなくて失敗していた。

このため島袋さんの戦略は、まず市町村の自治能力を高めた上で自治州を創っていくというものだ。

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