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更新日:2006/07/25(火)

[社会] 山村の人々の居住の権利を
──大今歩

中山間地直接支払制度とは

中山間地直接支払制度という言葉をご存じだろうか。

中山間地とは山村やそれに準ずる、山林が多く農業の生産条件が不利な地域を指す。一九九九年、農業基本法が廃止され、これに代わって、食糧・農業・農村基本法が制定された。この新法の制定にともなって「中山間地域等の生産条件の不利補正」のため、「直接支払」(中山間地の農家や共同事業に対して現金を支払う)によって支援する制度である。

私が住む山村である北原区もこの制度に加入し、二〇〇一年から二〇〇五年にかけて毎年、約九〇万円の交付を受けてきた。制度の存続が危ぶまれてきたが、昨年、延長が決定し、二割削減されたものの、本年度からまた五年間、直接支払いを受けられることになった。

この制度の根拠として、食料・農業・農村基本法があげているのは、@食料の安定供給の確保、A水田による洪水の防止、水源かん養などの多面的機能の発揮などである。これらの論点について検討したい。

実態に反する制度の根拠

@の「食料の安定供給の確保」について農水省は、「良質な食料を合理的な価格で安定供給」と述べているが、前回述べたような農薬漬けの農業では「良質な食料」は得難い。また、「不測時の食料の確保」も、二〇〇三年六月成立した有事法制で、「自衛隊が軍事行動に必要と考えた土地や施設・物質を自由に使用・収用できる」としたのと同様に来たるべき戦争準備であり、到底納得できない。

Aの「水田の多面的機能」について考える。農水省はその例として、第一に水田が洪水を防止するダムの役割を果していることあげる。このことは、一九九三年、米の輸入自由化が問題になったときにも、多くの人が「自由化反対」の論拠としていた(例えば、井上ひさし「コメの話」)しかし、これは水田耕作の実態にはそぐわない。まず、農民は田植えの後、梅雨時に雨が激しくなると苗が水に漬かると枯れてしまうので、できるだけ水を落とす。従って水は梅雨時の豪雨の際、洪水を防ぐ役割を果たさない。また台風シーズンとなる八月中旬以降は稲刈りの準備に向けて田を乾かすため、田に水を入れない。このように水田が、洪水防止のダムの役割を果たさないことは明らかである。このことは、一回でも稲を作ったことのある人には、自明のことであるのに、法律の根拠とされたのは信じられないことである。

次に「水田の水資源かん養機能」につてい考える。「水源かん養」とは中山間地の水田が上水道の水源を確保するとともに、地下水を生み出していることを指している。しかし、中山間地でも農薬・除草剤漬けの稲作が営まれ、今後も改善される見通しはない。農薬・除草剤漬けの稲作では「水源かん養」どころか、むしろ、水資源を破壊するのである。中山間地の水田はなくなる方が、ずっと水源の水質を守ることができる。

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