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更新日:2006/02/01(水)

[海外] 香港WTO閣僚会議の裏側で経済一辺倒のグローバル化・開発に抗する
──アジア農民交流センター/新米百姓 松平尚也

進行する開発と人権?直訴村取り壊し 汕尾市発砲事件

香港でWTO(世界貿易機関)閣僚会議が幕を上げた一二月一三日、同じ中国の北京では国内各地から政府への陳情に訪れる人々が集まる、直訴村の取り壊しが行われていた。陳情者の内、約千人が拘束され、残り数千人も氷点下一〇℃の厳寒の中、路上で寝泊まりしているという。年間一千万件に上る陳情の解決率は一%にも満たないが、その見返りは、「直訴の道は不帰の道」と呼ばれるほど相当のリスクを伴う行為でもある。

WTOに加盟して四年が経過した中国。経済一辺倒の開発が追求される中、開発で土地を追われた人々の訴えが直訴村で増えた事が伝えられていた。香港会議が始まる一週間前、グローバル化の基で進行する開発─が人々への暴力となって爆発する事件が起こった。発電所建設に抗議する広東省汕尾市東洲村の村民を中国当局が発砲射殺した事件がそれだ(「ミニ天安門」と呼ばれる)。死者は三人とも数一〇人とも言われている。

経済のグローバル化の牽引役=WTOの実像

今回のWTO会議では、難航する交渉状況を打ち破る一つの策として、途上国の開発問題がクローズアップされた。しかしその内容は、これまで途上国が経験してきた失敗を繰り返しかねない、市場原理主義を基調としたものだ。バラ色の開発ばかりが議論される中で、先進国の消費文化が開発から生まれる暴力とつながっている現実を考えたい。特に中国の開発と日本のつながりは深い。九〇年代、日本で拡がった九九円ショップやディスカウント店の向こう側で、人々は押し付けられる開発の波に抗議の声を挙げてきたのだ。

停滞気味と言われるWTO交渉だが、今年末の合意期限に向かってその歩みを再び進め始めた。今回の香港会議では、サービスや非農産物(工業、林水産業等)分野で途上国に不利な枠組みが決定されている。

WTOは、自由貿易を推進する国際機関として一九九五年に発足した。これまでのモノ中心だった貿易に加え、カネ(投資)、サービス分野を貿易に組み込み、独自の裁判制度を持つ強力な機関が、人々の知らない間に出現していたのだ。

WTO交渉で最も批判が多いのが、そのプロセスの不透明さだ。今回会議でも目立ったが、最終局面になると重要な議論が少数国で決定されるため、NGOだけでなくアフリカなど立場の弱い途上国から批判が続出した。

ジュネーブに本拠を置くWTOの会議は、年間数百に及ぶ。当然だが会議に派遣できる人員は、先進国と途上国で大きな格差があり、途上国はこの点で既に不利を強いられる。また後から加盟すればするほど不利になるシステムも大きな問題だ。先進国が数十年かけて貿易の自由化を行ってきたプロセスを、途上国はこの一〇年で一気に遂行させられてきた。何が起こったのか?

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