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更新日:2005/03/05(土)

[コラム] 「希望」捨て「冒険」の世界へ
──フリージャーナリスト 小林忍(50)

「ゲリラと呼ばずに、『テロリスト』と書いて下さい。ここでゲリラは英雄ですから。政権に就いたりしてますしね」。

九六年一二月、フジモリ独裁政権下のペルーで日本大使公邸が武装占拠された。実行したのはゲバラ主義を掲げる左翼組織・ツパク・アマル革命運動のゲリラ隊。リマで行われた共同記者会見の席上、日本外務省の報道官がメディアに要請したのが、この「テロリスト発言」だ。

実はその三カ月前の九月、一四年振りに総理が南米を訪問していた。橋本総理は南米歴訪のトリをペルーにし、憲法と議会を停止していたフジモリに多額の援助を行った。

現地の記者会見で質問した。「南米ではフジモリ政権を残酷な軍事独裁政権と見ているが、そこに経済支援をするのか?」

総理代行報道官はこう返してきた。「ペルーはゲリラを制圧して民主国家になったと米国が発表しています。ですから当然民主国家でしょ。我が国も米国の判断を基に民主国家と認識しています」

現地ジャーナリストたちの日本評が耳に届いた。「ゴマスリ奴隷」。

ブラジルでは、来訪したフジモリに対し、政府関係者はおろか、州知事・市会議員すら出迎えを拒否していた。残虐な統治手法に抗議しての「無視」だ。この時期の日本政府の見解が上記した「報道官閣下」のものだ。

着実に進む元『テロリスト』による民主国家建設

この時からほぼ一〇年を上った軍政下のブラジル。陽光が差し込まない地下留置場で死の淵にいた男たちがいた。過酷な拷問と粗食で瀕死の状態にあった一人は金属労連リーダーのルーラ・ダ・シルバ。ルーラは工場占拠・バリストで軍政に対抗する労働者運動を指揮していた。街頭では労組員が、重装甲車・ショットガンで武装した軍警機動隊に、鉄パイプとモロトフカクテル(火炎瓶)で闘っていた。

基幹労働者の闘いは、アメリカングローバリズムを推進する社民党・カルドーゾ大統領の登場まで一〇年以上続いた。公営企業民営化に抵抗する労組の職場占拠に、カルドーゾは陸軍を投入した。

〇二年、カルドーゾ政権を労働者党のルーラがついに打ち破り大統領に当選した。「テロリスト」を大統領に選んだ国民を「テロ集団」と日本メデイアは報じていない。「報道官閣下」のコメントをぜひ聞きたいものだ。武装闘争を闘った元ゲリラたちを政権中枢に据えたルーラは、中大国・中・印・露(BRICs)・EUとの関係を強化した。国際通貨ドルの信用下落とユーロ、元の台頭。これにブラジルの大資源が結びついた。

BRICsはジワジワと米国の間隙を突く勢力になりだしている。米国でルーラ政権打倒の「オピニオン」が登場するのは当然であった。

ペルーの大地から聞こえるイラクの銃声

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