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編集一言2008年08月ログ

映画『アメリカばんざい crazy as usual』
 『アメリカばんざい crazy as usual』という映画を見た。今、アメリカではホームレスが350万人もいる(全人口の1%)。男性ホームレスの3分の1は元兵士だ。映画は元兵士のホームレスやイラク帰還兵にインタビューする。アメリカが外国でどんなことをしてるのか、戦場が人間をどんなに破壊するのか。新兵教育キャンプ(ブートキャンプ)の取材も見事だ。
 映画『フルメタル・ジャケット』で見せつけられた『罵倒』という言葉の暴力で、人間の持っている優しさ・迷いを取っ払って、「殺人マシーン」に人間を作り変えていく方法がいまだにとられている。
 イラク戦争に従軍しているのが、大学や技術取得目的のアメリカ下層社会の若者たちだが、現実は厳しい。ベトナム戦争と同じで、帰国しても市民社会になじめず、軍隊で覚えた薬物中毒や暴力常習者として、ホームレスになるか刑務所に入るかしている。アメリカの現在の刑務所収容者数は、230万人。何と成人の100人に1人が入っている計算だ。
 暴力で他国を支配する国は、国内でも暴力を蔓延させる。麻薬中毒者が刑務所から移されてなお残る230万人の受刑者は、力で人を支配する社会の実像を私たちに示している。兵士たちが戦うべき相手は、異文化・異思想ではなく、利潤追及のグローバル資本主義だ。(A)
2008年08月26日更新
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左翼不在の近代変革
 以前コラムで、米コロンビア大学のジェラルド・カーチス教授の「2015年日本大変革期説」に異議を唱えた。理由は「そこに左翼が存在しないから」であった。では明治維新、昭和の敗戦に左翼が存在したのか。そこにも左翼は存在しなかった。
 だからいずれも大変革(革命)は成功しなかったのである。この近代日本の大変革期には共通の要因がある。それは農民政策の失敗ではなかろうか。農業問題、土地問題といってもよい。明治維新の「地租改正」(農民収奪)は日本専制資本主義の最大の原始蓄積であった。それ故に日本軍国主義は最後に惨敗したのである。
 日本の戦後復活の目玉は農地解放だった。日本の農民は初めて土地を所有した。しかしアメリカは、日本の農民に米を作らせずパンを食わせた。農民を基盤とした日本の保守党(自民党)はわずか半世紀で政権を失おうとしている。ロシア革命も中国革命も農民の反乱が命取りになったし、なろうとしている。
 左翼とは何だろうか。それはイデオロギーでも党派でもない。何千年、何万年と続く民衆の生きるための異議申し立て、それは勝ったか負けたかの問題ではない。勝っても負けても持続する異議申し立てこそが「大変革」(革命)だといえよう。しかし夜明けはまだ遠い話だ。(F)
2008年08月22日更新
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レンタルの思想
 新潮選書『地球システムの崩壊』で、松井孝典が「レンタルの思想」を主張している。曰く工業文明は人間の欲望を解放した。その具体的な形が「所有」だ。現代とは、個人があらゆるものを所有することを求める時代。このアンチテーゼが“レンタル”である。
 我々は自分の身体ですら自分の所有物のように思っている。しかし、それは生きている間、地球から借りているにすぎない。我々が生きていくのに、本当に必要としているのは物ではなく、その機能なのだ。すべてを所有する必要などないのである。
 この主張は、分子生物学分野で、福岡伸一が主張する「動的平衡」把握とも重なっている。人間はその体の動的平衡を維持するために、体外から食物を摂取し、体外に排出している。まさに我々は、地球から材料を借りて、自分の体を構成する臓器をつくり、その機能を保って生きているわけだ。
 振り返って見れば、こうした認識は、かつて、人間が自然の前に謙虚であった時代には、直感的に諒解されていたように思う。人間は、果して地球上の一つの生物にすぎなかった時代の記憶を、今でも、そのDNAに残しているのだろうか。
 現代社会が強力に再生産している幻想にとり囲まれて、所有への飢餓感は根強い。百年先の未来を、今、共に生きているという実感・想像力を喪失した現代人に「レンタルの思想」は根付くのだろうか。(M)
2008年08月20日更新
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噛み付いたNO‐VOX(声なき者たち) スーザン・ジョージの「絶対非暴力」路線に
 G8サミットに対抗する「国際民衆連帯フォーラム」(7月4〜9日、札幌市)では、スーザン・ジョージ氏が「我々の行動は完全に非暴力でなければならない」と発言。
 その直後にマイクを持ったNO‐VOXフランスのブノワ・ユージェーヌ氏は、スーザン氏の発言を批判するスピーチを行った。こうした激しい論争が、集会の場で公然と行われることこそ、反G8運動が民主的で健全であることを示している。
 洞爺湖・豊浦でのキャンプ(7月6〜9日)にも参加したブノワ氏に真意を聞いた。
 曰く、「スーザン氏は、『抵抗』と『暴力』を同一視している。新自由主義の暴力の形態は様々なので、抵抗の形も様々になる。多様性や地域性を無視して、暴力を一般化し、『非暴力』を唱えることは、多様な『抵抗』のあり方を否定することになる」
 G8サミット直前東京行動の際にも「彼女は結果的に、運動を批判するマスメディアや権力側の言説に与している」として、次のように話している。
 「例えば、イタリア・ジェノバサミット(01年)で起きた、警察や国家による信じがたい暴力については何も批判せず、運動側の『暴力』だけを厳しく批判している。彼女は、暴力が起きればメディアはそれに固執して本当の問題を伝えなくなってしまうと言うが、実際のところ、暴力が起きなくてもマスメディアは運動側の報道はしない。彼女の『非暴力』は、その矛盾を知的な物言いで隠しているだけだ」
 また、ブノワ氏は、東京行動を振り返って今後の課題を提起した。
 「わざわざ集まって来る人たちが、ここで何を生産できたのか?集まって話を聞き、そしてみんな帰ってしまう。『いかにメディア化するか』に捕われすぎているのではないか。ここに来た人々がどう繋がり合えるか、生産的な運動を育てていくような構図をつくれるか、これが課題だ」(編集部・山田、藤井)
2008年08月18日更新
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原油価格高騰の良い部分
 原油価格の高騰がとまらない。最近、エンジンを吹かせて走り回っている暴走族の気配がない。原油高は、悪いことばかりではなさそうだ。
 漁師がいっせいにゼネストをおこなった。とにかく漁場までたどり着く必要があり、経費に占める油の比重は高い。漁業の専門家に聞いたら、倍の値段にまず耐えられないのはトロール漁船だ、という。網を引っ張りまわして攻撃的な魚法をとるので油をもっともよく使う。資源浪費型であり魚資源の乱獲につながる。これに対して、整地網などの待つ漁法、沿岸部漁業などが見直されることになるという。
 農業も石油高騰にギブアップするのは工業的な施設栽培農業だ。この際、脱石油に知恵をしぼり、自然循環に依存した本来あるべき農業への道を拡大するチャンスである。不耕起の回数を増やし、トラクターの出番をできるだけ減らす。冬水田んぼによって代かきの回数を減らす。
 化学肥料の高騰が始まっており、地域の有機資源の発掘と利用が拡大していく気配だ。運賃の高騰により、遠くから運んでくる畜産飼料代にも響いてくる。おまけに先物取引・バイオ燃料によるトウモロコシ高騰が直撃した。自給飼料の拡大が求められる。
 宅配が持ちこたえることができるか、という問題も起きてくる。協同購入システムが蘇る可能性がある。地域内自給経済と協同活動を基本とする有機農業の出番である。(I)
2008年08月16日更新
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