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編集一言2008年05月ログ

食の危機
 「食の安全について連載をするので取材したい」という新聞記者が来た。初回は、船場吉兆を取り上げるという。その後、中国の農薬入り餃子について取り上げ、それから有機JASという企画らしい。話していてなんとなく違和感があり、担当を聞いたら警察担当だという。なるほど、そういう角度からの連載が可能になる時代となったのだ。
 消費者運動・生協運動が、食の安全に対する市民社会でのヘゲモニーを失って、すでに10年を過ぎようとしている。この間、食の安全は管理強化・法的罰則強化の道を突き進んできた。そして、情報源はほとんどマスコミに握られ、本来あるべき消費者の学習機会・学習能力の確保という課題は、姿を消しつつある。
 大阪府では1100億円の収支改善=人件費・行政サービス削減を目指している。食の安全確保に警察を使うのは、この収支改善からいえば逆行だ。有機JASそのものも構造改革の方向とは逆だ。警察を食の安全に関わらせない、そして行政は消費者の学習と自立という方向を支援することが、収支改善・構造改革のポイントである。しかし橋下や小泉は、文化の持つ合理性が理解できない。
 農業から文化を切り捨てた時、農村の解体が起きてしまう構造がある。食から農の文化を切り捨てた時、食の危機が訪れたのだ。危機の中で、食と農のヘゲモニーを生み出したい。(I)
2008年05月29日更新
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沖縄米兵に襲われた傷跡の深さ
 降りしきる雨は、いよいよ勢いを増して人々を濡らしていた。傘をさす人はまばらで、多くは、雨合羽に身を包み、覚悟を決めて集まったように見えた。3月23日、沖縄・北谷町で開かれた「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」。参加者は6000人を越えた。
 仲井真弘多・沖縄県知事は、「暴行を受けた中学生をそっとしておきたい」と集会不参加を表明。自民党も参加を見送っていた。集会参加者の数を気にする政府は、13年前の県民集会に比べ激減した参加者数に胸をなで下ろしたと言う。
 しかし、集会には静かに強い沖縄の怒りがみなぎっていた。冷たい雨の中、誰も動かない。誰もしゃべらない。当壇する発言者の言葉に心がこめられていることを誰もが感じ取っていた。
 なかでも、6年前、神奈川県横須賀市内で米兵に暴行を受けたオーストラリア人女性の、とぎれがちな日本語での訴えは重く、深く参加者の心をとらえた。「6時間じゃない。6日間じゃない。6年間。私の6年間を返してほしい。日本の警察も裁判所も冷たかった。犯人はアメリカへ帰って何事もなかった様に暮らしている。ずっと一人だった。今日、沖縄に来て、集会に参加して、やっと一人じゃないことを実感できた」。
 こぼれる涙をこらえて口唇をかむ女性。じっと顔を上げないで、こぶしを握りしめている老人。巨大な敵への怒りが人々を一つにして、共感が雨の中で渦巻いていた。(M)
2008年05月20日更新
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「商船を追い払ってまで入れるとしたら軍港だ」 米軍旗艦の小樽入港めぐって外務省が圧力
 小樽の斎藤さんから、「小樽市がブルーリッジ(米海軍第七艦隊旗艦)の寄港を断った」と電話があった。接岸可能なふ頭がなく、入港を受け入れないことを表明したのだ。
 やったね!小樽市はやはり頑張っている。その後、函館の道畑さんから、外務省が小樽市に露骨な圧力をかけているとメールが届く。
 外務省は小樽市に村して、「ブルーリッジが入港できるよう調整しないのは港湾管理者としての能力に欠ける」とまで言ったという。
 山田勝麿小樽市長も負けてはいない。「商船を追い払ってまで入れるとしたら、まるで軍港だ」(二月一日・北海道新聞)
 入港日が競合していた商船の遅れによってバースが空いたため、ブルーリッジの入港が可能な状況になった。真相は不明だが、外務省が手を回したと言いたくなるようなタイミングだ。
 小樽市は、寄港の再要請を受け入れ、プルーリッジは二月七日、小樽港に寄港した。それでも小樽市は頑張っている、というのが私の意見だ。
 同じ思いを、道畑さんのメールが伝えてくれる。
 「『空いたから入れる』ではなく、一度断ったということをひるがえさず、入りたければ改めて要請しろという態度をとっているのは賞賛できる対応ではないかと思います。これで仮にブルーリッジが入港することになったにしても、小樽市が自らは調整しなかったということには変わりありませんし、バースが空いたとしても、自動的に入れるのではなく、再要請しなければならないという取り扱いが一般的になればとの思いです。また、外務省のなりふりかまわない「圧力」は、政府の本性を露呈したものとも言えますし、それが報道されて、道民・市民には逆にマイナスイメージを持たれたのではないかと思います」。
 小樽市の今回の港湾管理権の行使に対し、外務省は港湾法や地位協定の解釈で小樽市を説得できなかった。ここを見落としたくない。最後の切り札である「圧力」に頼るしかない外務省にこそ、焦りがある。(『たより』一八九号〔三月一六日発行〕より抜粋)
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▼非核市民宣言運動・ヨコスカ/横須賀市本町三─一四 山本ビル二F/電話&ファックス・〇四六─八二五─〇一五七
2008年05月17日更新
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鳩山法相の2度目の死刑執行に想う/「法の下に命絶つ」重大さ認識しない「世論」
 二月一日、鳩山邦夫法相の命令により再び死刑が執行された。
 この日の国会質問で鳩山法相は、「死刑制度についてはそれぞれの国にそれぞれの考え方があり、世論がある。わが国では凶悪あるいは重大犯罪に対して厳しく当たるべきだという世論が大勢」「人命をこよなく大切にする日本という国、日本人であるからこそ、人命を奪うような行為に対しては厳しく対処すべきというのが現在の世論」「(死刑制度については)内政上の重要な課題であるから、日本人の手で、日本人の意思で決めていくべき」と答弁した。
 「世論」というのは、いい加減かつ無責任であり、国家権力は、都合のいいときにだけ持ち出す。そして、「これが世論の大勢だ」と言えば、ますますそういう「世論」は増幅する。「この国の世論」は、多数派=正論と信じ、そこに所属することで安心を得る。つまり、少数派になることを避ける。「意思」も「意志」もない。
 来春から裁判員制度が開始される。国民自身が死刑宣告に関与することになる。「人命をこよなく大切にする日本国民だからこそ、人命を奪う行為には厳しく対処すべき」という「世論」に従ったということで、死刑判決を選択した裁判員の判断も正当化されるということか。
 裁判員制度を行なうのであれば、自らが死刑を宣告した死刑囚の執行に裁判員は立ち合い、最後まで見届ける責任が当然ある。そして、執行命令書に署名した法務大臣にも同様の責務がある。
 法のもとに人命を絶つということの重大さを認識することも思考することもない「世論」によって死刑判決が出され続けていくことだろう。(『ごましお通信』第八八号〔三月二五日発行〕より抜粋)
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▼ごましおの会/東京都小金井市前原町三─三九─七 益永方/郵便振替・〇〇一六〇─九─七一二二二九「ごましおの会」
2008年05月14日更新
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最近の公開映画に見る暴力と反戦
 アカデミー賞を4つとった「ノーカントリー」を見た。すさまじい暴力の描き方は、現在のアメリカに蔓延している暴力をキチンと表している。殺し屋の男は、自分なりの「美意識」にこだわり、人間の感情などはまったく無視する。人のいのちもコインで決める。「二者択一」「問答無用」といったことばがピッタリで、デシタル社会の申し子みたいだ。自分の傷も自分で手術する。生身の感情など持ち合わせていない。暴力の日常にさらされてきた人間が、どんなに暴力的になれるかということだろうか。
 「さよなら、いつかわかること」という映画は、イラク戦争にいった女性兵士が戦死し、残された夫が子どもにどう伝えるか悩む映画。暴力にまみれた国で育つと、女性も「暴力」や「国の正義」を信じて戦場にいく。米軍兵士の15%が女性で、その内4割が子持ちで、イラクで70人も女性が戦死している事実から、監督が考えたストーリーだが、イラク戦争に反対してる夫の姉も登場して論争がくり広げられる。「正義の戦争」を信じてる側を主人公にしたことで、とても渋い反戦映画と私には感じられた。(4月ロードショー)。
 暴力が蔓延しているアメリカだからこそ作られたこれらの作品が、デジタル世代の若者にはどう映るのだろうか。「実録・連合赤軍」もロードショーが始まった。反応が楽しみだ。(A)
2008年05月12日更新
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NYフィル平壌公演「いつか、“ピョンヤンのアメリカ人”という曲が…」
 二月二六日のニューヨーク(NY)フィル平壌公演は瞬時に衛星中継され、世界の関心を集めた。CNN、BBC放送でもすぐに流され、内容は好意的だったようだ。日本の放送は残念ながら「朝鮮が対米関係改善を世界に示すため」とか、冷めた報道だったと聞いている。
 昨年一二月に平壌公演が公式発表されて以来、多くの人々がよくも悪くも注目していた。
 日本では朝鮮の核計画申告と米国の「テロ支援国家指定解除」の停滞がとりざたされていた。一方、朝鮮ではNYフィルの訪問を伝えるのと同時に、三月三日〜七日の米韓合同軍事演習について、「朝米関係が改善の方向へ向かっている時期に、挑発的行為だ」という非難が連日続いていた。
 そんななかでの公演。いったいどんな感じになるのだろうという気持ちで見守った。
 二六日午後六時、朝鮮中央テレビは異例の実況中継を行い、和やかな友好雰囲気を伝えた。舞台の両脇には朝米両国の国旗が掲げられ国歌が演奏された。平壌で米国旗が飾られ米国歌が流れるのは、解放後おそらく初めてのことだ。
 荘厳な交響曲『新世界より』(ドヴォルザーク第九番)の演奏に聞き入る観客の姿。なかでもNYフィル指揮者のロリン・マゼール氏が、アメリカの有名な作曲家・ガーシュインの『パリのアメリカ人』を紹介しながら、「いつか『ピョンヤンのアメリカ人』という曲ができるかも」という言葉に会場は拍手喝さい。ロリン・マーゼル氏のウィットが人々の顔を和ませる。場内は一体感にあふれ、最後は『アリラン』が演奏されて皆おおいに盛り上がった。
 百数名の演奏家たちと数百名の関係スタッフたちは短い滞在にもかかわらず、平壌市芸術人の公演を観、演奏家同士の交流や市内見学と精力的な文化交流を行い、その姿が連日TVで報道された。そこには朝米友好を願う朝鮮の人々の心が――。当初の私の懸念は消えていた。
 今回の平壌公演には、音楽を愛するイタリア在住の日本人女性が「関係を友好の方向に持っていき、そこから問題を話し合うという方法もあるのでは」という気持ちで資金提供をしたそうだ。そんな公演の余韻が消えぬ矢先、ブッシュ大統領は「朝鮮の指導者とは友人になれない」と冷や水を浴びせる発言をした(二八日、ホワイトハウスで記者会見)。
 しかし、公演実現に尽力した人々の気持ちを集約した「いつかピョンヤンのアメリカ人という曲が…」の願い―このメッセージへの平壌市民の拍手喝さいが、明日の現実になるだろうという思いを強くしている。(かりの会・若林佐喜子)
2008年05月10日更新
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