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編集一言2007年07月ログ

反G8と「もう一つの世界」の可能性 成田圭祐
 ドイツのハイリゲンダムで今月初頭に行なわれたG8サミットに対する反対行動に参加してきた。
 六月二日の巨大なデモ行進から始まり、サミット会場周辺での道路封鎖、現地で落ち合った日本人活動家たちとの日本政府関係者が宿泊するホテル内での抗議行動、音楽での抵抗表現(ライブ)、突発的に発生するデモや座り込み、などなど、およそ一週間の間、毎日何かしらの行動に関わった。
 抵抗表現の多様さを認める、ということが、シアトルでの反WTO行動以来、反グローバリゼーション運動のなかでの基調となっているが、今回もまさに多種多様、自発的に行動する人々の創造的な抵抗がサミット会場周辺のあちこちで実行された。警察や銀行・大企業のビルに投石する者もいれば、音楽を演奏して抗議者を勇気づける者もいたし、ピエロの格好で戯けながら警察のフォーメーション崩そうと試みる者もいた。それぞれが思い思いの方法で、G8反対の意思表示をし、G8に押し付けられる世界とは違う世界があり得る(またはすでにある)ことを表現していた。
 反G8行動の参加者のためにサミット会場周辺に用意されたキャンプ場でも、朝昼晩キチンとベジタリアン・フードが用意され、夜になればレイブ・パーティーがあったり、映画の上映会があったり、フレンドリーな人々の中で新しい出会いがあったりと、まさに「Another World is Possible! ──もう一つの世界は可能だ!」というスローガンが実感できる、あるいは、こういう世界で暮らしたいと思える、本当に豊かで充実した一週間だった。サミットを阻止することは出来なかったが、掲げられていたスローガン「もう一つの世界は可能だ!」という言葉に、手ごたえを感じられるかどうかのほうがはるかに重要だろう。
 反G8の行動の前後に、コペンハーゲン、ベルリンやハンブルグなどの都市に滞在して、各地のアクティヴィストと交流し、スクワットやインフォショップなどを訪ねる機会も得たのだが、大企業や国家の思惑に振り回される生活とはまた別の生活スタイルを、言葉よりも先に実際的に、地道に、でも楽しそうに模索し創造する光景が、そこには日常的にあった。このような日常的な実践がバックグラウンドとなって、今回の反G8のような多彩で大規模な抵抗が生み出されていることは間違いない。オルタナティブを日常的に追求しているかどうかで、政治的な活動の幅もだいぶ変わる。お膳立てされた場所で「反逆」やら「革命」やらを叫び続けてみたところで、「もう一つの世界」はますます遠いものになっていってしまうだけだ。
 来年二〇〇八年は北海道の洞爺湖で七月、G8サミットが予定されているが、それに対する反対行動がお決まりの儀式的なものになってしまうか、「もう一つの世界は可能だ!」ということを実感出来るものになるかは、今から一年の間に様々な立場の人が、それぞれの表現方法の多様性を認めながら、G8が強要する世界とは違う自由な世界の可能性を、どれだけ実際的かつ日常的に具体化/視覚化していけるかどうかにかかってる、と思う。
2007年07月24日更新
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平等な人間関係の良さ
 5月28日付の産経新聞が、「溶けゆく日本人─人間関係の不全」という連載記事を載せた。「長幼の序の崩壊」や「行き過ぎた平等主義の弊害」が、「性の乱れ」や「学級崩壊、家庭崩壊」を生み出したと言っている。「家や共同体(国)の繁栄を目的とした伝統的価値観が崩壊した結果、唯一の価値が自分になった」として、「個人主義」と「平等主義」をやり玉に挙げている。
 若者の「ため口」は「友達関係」の言葉だといって裁定しているが、乱暴なもの言いは友人関係でも止めるべきだと私は思う。必要以上の敬語は逆に人間関係を疎遠にする。
 上下関係は固定的なものではない。間違いを犯した人は率直に誤りを認め、教えを請うべきだ。先生でも親でも間違いは犯すことがある。それは指摘しなければ気付かないことがある。
 上下関係を重視する人は、既成の秩序を維持したいのだろう。上下関係は「命令」と「服従」で成り立つ。「対話」や「論争」は好まない。命令一つで事が解決するのが一番簡単だから。「提案」にもとづく「話し合い」が対等な人間関係だが、それに慣れない人は、左翼であっても、ヤクザと同じく、上に弱く、下に強い、ものの言い方になっているのをよく見かける。産経の主張は自民党の主張でもある。有効な反論のためにも、平等な人間関係の良さを作り出そう。(A)
2007年07月22日更新
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いまこそ機がある有機農業政策
 国家の役割が低下していく時代である。ひとつの側面は政府の関与をできるだけ減らし福祉国家からの脱却を目指す動きであり、もう一つの側面は、政策形成のプロセスが国際機関により決定され、個別政府の政策は従属的になりつつある状況である。にもかかわらず国家はこの社会のなかで圧倒的な勢力として存在している。
 能力を低下させる公共セクターに対し、協同セクターが次第にその領域を拡大している。NPOが二万五千法人を数えるようになった。しかし、その力は求められる役割に比すればまだまだ弱い。協同組合グループや社会的経済といわれる領域も拡大はしている。しかし、内容的に一進一退といった状況に変わりない。
 この閉塞状況に風穴をあけられるのは、農業政策である。それは農業政策がいま、環境政策として登場したからだ。この政策を遂行する能力は官僚にはない。何故ならこの領域は質を問うことから始める以外になく、統計数字に依拠できない。また、農家の主体性に依存する以外になく、多様な価値観と多様な生態系を前提としているからだ。
 有機農業の推進の場は、市民とともに農業生産者の主体形成の場として活用できる。地方行政との協働を図りつつ協同セクターの拡大とその力量を蓄積するネットワークを具体化していく時機である。政治的流動化の今、機が有ると見るべきだ。(I)
2007年07月18日更新
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